
国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」を利用してみてのレビュー・感想・紹介記事です。
本登録が完了して利用できるようになったので、インターネット上での利用登録手続きと、実際にデジタル化資料を閲覧してみての使い勝手などをまとめました。
サービス概要


「個人向けデジタル化資料送信サービス」とは、国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なものを、インターネットを通じて個人の端末(パソコン、タブレット、スマホなど)のウェブブラウザで閲覧できるサービス。
以前は公共図書館や大学図書館でしか利用できなかった「デジタル化資料送信サービス」が、個人の端末で利用できるようになったもの。閲覧可能なデジタル化資料の数は、約153万点(※2022年1月時点)。
サービスを利用できるのは、日本国内に居住していて、利用登録を行い、利用規約に同意した人。サービスの利用料は無料。満18歳以上で個人用のメールアドレスがあれば、インターネット上で利用登録が可能。
詳細は国立国会図書館のサイトで要確認。
利用登録について
「個人向けデジタル化資料送信サービス」の利用には、利用者登録手続きが必要。
インターネット上での申込み手続きで必要なものと、大まかな流れは以下。
- メールアドレス
- 本人確認書類の画像ファイル
- 登録用ページにアクセスしてメールアドレスを入力
- 送信された登録用メールに記載された申込み専用URLにアクセス
- 登録種別を「簡易登録」と「本登録(←を選択)」から選択
- 利用者情報の入力(ここで本人確認書類の画像ファイルが必要)
- 申請完了(本人確認などで本登録が完了するまでは簡易登録扱い)
- 本登録完了のメールを受信(通常は5開館日程度掛かるらしい)
- 「国立国会図書館オンライン」にログインして利用規約に同意
- 手続き完了
登録手続き
登録用ページにアクセス




まずは登録用のページにアクセスする。
国立国会図書館オンラインのトップページからアクセスする場合は、「ログイン」ボタンから開くことのできるフォーム左下に記載された「新規利用者登録」のリンクとなる。
「国立国会図書館 新規利用者登録」でネット検索するか、以下のリンクから開く方が簡単。
メールアドレスを入力


メールアドレスを入力して、「注意事項に同意する。」にチェックを入れ、送信ボタンを押す。
申込み専用URLが記載されたメールが届くので開く。
登録種別の選択


登録種別の選択では「本登録」を選択。
「利用者情報の入力」ボタンを押して次に進む。
利用者情報の入力


利用者情報の入力では、氏名、生年月日、住所、連絡先(電話番号・FAX)、パスワード、本人確認書類の画像ファイル、を入力する。
本人確認書類として使えるのは「運転免許証、健康保険証、個人番号カード(マイナンバーカード)、学生証、住民票、パスポート、公的機関が発行する手帳」など。詳細は公式サイトで要確認。
入力し終わったらページ下部のボタン「申請内容の確認」を押して確認ページへ移動。内容を確認して間違いがなければ「この内容で申請する」ボタンを押す。
申請完了


申請が完了すると利用者IDが発行される。本登録が完了するまでは簡易登録としてログインも可能。
本登録のための本人確認作業は、5開館日程度掛かるとのこと。登録が完了するとお知らせメールが届く。


2022年6月の初旬に申し込んだ際は、混雑していたらしく、本登録完了までに13日(11開館日)掛かりました。
利用規約に同意する


本登録の完了後に国立国会図書館オンラインにログインすると、利用規約が自動で表示されるので「同意する」を選択。
これで「個人向けデジタル化資料送信サービス」の手続きは完了!


登録手続きは、一般的なWebサービス登録の形式と大して変わらないもので簡単でした。
使い方
「個人向けデジタル化資料送信サービス」の基本的な使い方。
ログイン


「個人向けデジタル化資料送信サービス」を利用する際には「国立国会図書館デジタルコレクション」にログインする。「国立国会図書館オンライン」ではない。
「国立国会図書館オンライン」と「国立国会図書館デジタルコレクション」のログイン状態は同一IDでも別扱いとなる模様。
資料を検索する


ログインしたら国立国会図書館デジタルコレクションで見たい資料を検索する(資料の検索は国立国会図書館オンラインの方でも可能)。
「個人向けデジタル化資料送信サービス」で閲覧できる資料を検索する場合は、「図書館・個人送信資料」にチェックを入れて絞り込み検索する。
詳細検索を使えば、範囲を絞り込んでのかなり細かい検索も可能。
資料を閲覧する


資料の閲覧画面は、左側に書誌情報(最小化も可能)、右側にコンテンツが表示される。上記画像はPC版。
「(図書館・個人送信資料)デジタル化資料送信サービス」で閲覧できる図書・雑誌・博士論文などの資料は、紙媒体を写真撮影した画像データ。ほぼテキストで構成された小説なども、テキストデータではなく、画像として表示される。
表示される画像は、はっきりと文字や画を見ることができるくらいに高解像度(資料の状態にも依ると思われる)。両面印刷の書籍などの場合は、見開きの2ページ分で1枚の画像として表示される。


資料を真上から写真撮影した画像のようで、微妙に傾いていることも多いようです。資料の状態や形式などの都合が関連ありそうです。
使い勝手
「個人向けデジタル化資料送信サービス」は、とってもホットな良いサービスだと思うのだけど、使い勝手の面ではいまいちなところもあった。
レスポンスが悪い
著作権保護期間が満了するなどで「インターネット公開」扱いの資料は、ウェブブラウザに画像データがキャッシュされるため、画像の拡大・縮小・再表示などはそれなりに軽快。
一方で「デジタル化資料送信サービス」対象の資料は、ブラウザにキャッシュが残らないストリーミング方式のためレスポンスが悪い。画像を拡大・縮小・再表示などするたびに読み込みが発生するため、小さな待ち時間が蓄積してストレス。
特に、ページ数の多い作品を読む場合は効いてくるため、紙書籍や電子書籍を完全に代替するものにはならない感じだった。
短時間で自動ログアウト


国立国会図書館デジタルコレクションの「デジタル化資料送信サービス」は、何も操作せずに30分が経過すると自動でログアウトする。
閲覧している資料の関連情報をネット検索などで調べたりしていると、「デジタル化資料送信サービス」の方を30分くらい操作しないことはざらにあるので、短時間での自動ログアウトは煩わしい。
しかも、自動でログアウトした後の閲覧画面操作で表示されるのは「コンテンツデータの取得に失敗しました」というダイアログだけ。表示中の資料ページで直接再ログインできたり、ログインページへのリンクが表示されるわけでもない。再度ログイン用ページを開いて、資料のページを再読み込みする必要がある。


”図書館”上の制約やシステム実装上の都合などによって仕方ない部分もあるのかもしれません。
大きな画面が必要
画面の小さなスマホやタブレットでは、資料画像の拡大・縮小表示に問題があって快適に閲覧できなかった。資料の快適な閲覧にはPCモニターのような大画面の必要性が大。
資料の画像をスマホやタブレットのピンチイン・ピンチアウト操作で縮小・拡大しようとすると、画像の位置がずれて正常に表示されなくなる。さらに、UIボタンでの縮小・拡大は5%ずつしか操作できないため手間が掛かり、前述したストリーミング方式と合わせて難儀する。
この旨は、国立国会図書館デジタルコレクションの案内ページにも記載されている。今後対応予定とのことで期待!


始まって間もないサービスなので今後の改善に期待したいところです。
まとめ
なかなかお目にかかれない古くて珍しい資料を図書館に行かずに読める(見れる)ようになった「個人向けデジタル化資料送信サービス」は、画期的なサービスだと思います。
(配信方式などもあって)本や雑誌を図書館で読んだり借りるのとは少し違うし、もちろん本屋で買うこととは全然違う、というところが何だか面白いです。選択肢が増えたのは吉!
図書館の諸々の制約からくる利便性の悪さはともかくとして、閲覧画面での操作性の問題などが改善されれば、より便利になるかと思います。
利用登録は若干手間ではありますが、特に難しいものでもないので、気が向いたら申し込んでおくのもいいのではないでしょうか。