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アニメ

【レビュー】アニメ『葬送のフリーレン』

4.0
4.0

アニメ『葬送のフリーレン』のレビュー・感想・紹介記事です。

魔王を討伐した勇者一行のその後。仲間たちが老いて死んでいく中、エルフの魔法使いフリーレンは悠久の時を生きる。冒険の終わりから始まる後日譚。

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基本情報

タイトル葬送のフリーレン
発表年2023年
(原作漫画:2020年~)
製作国日本
話数・時間1話30分枠
ジャンルファンタジー、冒険、人間ドラマ
キーワード冒険、魔法、アクション、勇者、エルフ、魔族

作品概要

TVアニメ『葬送のフリーレン』は、同名の漫画を原作とする剣と魔法のファンタジー作品。

あらすじ

 魔王を倒した勇者一行の魔法使い・フリーレン、彼女はエルフで長生き。勇者・ヒンメルの死に、何故自分が悲しんだのかわからず、人を “知る” 旅に出ることに……新たな仲間・フェルン、シュタルクと 共に、“魂の眠る地(オレオール)” を目指す。

 さまざまな出会いや別れを経て北部高原へ進み、七崩賢・黄金郷のマハトと遭遇……黄金都市に投影された記憶は、人類と魔族の特異な関係性を浮かび上がらせた──
 そして、さらに旅を進める中で、フリーレンの意識は女神の石碑に触れたことで過去へとさかのぼる。物語は、過去を慈しみ、未来に希望を託す。

 英雄たちの “心の内” を探る後日譚ファンタジー!

出典:『葬送のフリーレン』 原作:山田鐘人/ 作画:アベツカサ | 少年サンデー

傾向・雰囲気

おもしろさ
(知性、好奇心)
3.5
たのしさ
(娯楽、直感)
4.5
コミカル
(陽気、軽快)
4.0
シリアス
陰鬱、厳重
3.0

基本は「剣と魔法のファンタジー」。

勇者・戦士・魔法使い・僧侶の4人でパーティを組んで魔法討伐のために旅をする、などの共通言語化した”RPG”(ドラクエやFFなど)の世界観を下敷きとしている。

主要な成分は、「冒険、魔法、人間ドラマ、アクション」など。「モンスター、癒やし、美少女」成分も含むなど。

全体の雰囲気は、適度なシリアスを含むコミカル寄り。少年漫画で許容されるレベルのほんのりとしたラブコメ&お色気要素あり。

シリアス&ネガティブな成分も含まれるのだけど、それが良いアクセントになるようなコミカル&ポジティブによる形勢逆転の展開が必ず用意されている。安心して見られるタイプのハッピーエンドなイイ話系。

ファンタジー系作品の娯楽成分がふんだんに組み込まれた作品です。

お話の中身は大して頭を使うような面白さはないのですが、全体の構造はエンタメ盛り盛りで楽しいです😆

評価

ストーリー4.5
キャラクター3.0
イメージ4.0
サウンド3.0

ストーリーは、全方位に娯楽成分を散りばめられていて守備範囲が広い。

作画は、30分枠のTVアニメとしてはいい感じ。アクションもなかなか見ごたえがある。

キャラクターはたぶん魅力的に描かれている。サウンド関連も悪くはないのだと思う。だけど、あまり意識が向かなかった。

娯楽と癒やしを兼ね備えたエンタメ感の強い作りに関心しました。

感想・考察

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ネタバレを含んでいることがあります、未視聴の方はご注意ください。

転生しないやり直し

僧侶ザインの回想。フリーレンたちと別れて独りの静けさを実感したとき、パーティを組んでいたときの賑やかさを思い出す。
出典:葬送のフリーレン| #17 じゃあ元気で | © 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
フリーレンは新たな仲間たちとの関係を通じてやり直す。

本作は「転生しない異世界転生もの」だった。

いわゆる”異世界転生もの”のフォーマットは、「現世で死んで→異世界に転生→人生をやり直す」だ。

作中設定によると、エルフの寿命は1000年以上、ドワーフは300年くらい、人間は長くて100年程度の模様。

長命なエルフである主人公フリーレンは、「転生によるやり直し」に相当する事を、新たなパーティメンバーとの旅の中で実践していく。長命で顕著な能力の低下がない(老化・老衰しない?)エルフならでは。

「転生」という生々しいイベント抜きに「やり直し(リセット)」を描いていて上手いなと思った。

メタはいらない?

フェルンの体温をおでこで測るフリーレン。
出典:葬送のフリーレン| #17 じゃあ元気で | © 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
フリーレンは耳長銀髪ツインテール美少女として描かれる。
観客(視聴者・読者)は自分とフリーレンを重ねることができる?

「現世で死んで→異世界に転生」という転生イベントのプロセスは、もう不要なものかもしれない。

転生イベントは現実世界からの脱出を強く印象づける一方で、前世(現実世界)での記憶が残っている=前世に縛られるという負の側面を持つ。

幻想に没入・感情移入するためには可能な限り現実を切り離す、というのは一理あるように思える。そう考えると、現世からの転生というメタ設定は無くてもいい、無いほうがいいのか?

転生イベントを除去しながらも「やり直し」要素を持たせることで、キャラクターに感情移入しやすくなっているだろう。

供養と救済

塔の屋上に群生している蒼月草を見下ろすシーン。
出典:葬送のフリーレン| #02 別に魔法じゃなくたって… | © 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
亡き勇者ヒンメルがフリーレンに見せてあげたいと言っていた蒼月草の花。
フリーレンは時間をかけて捜索(供養)した。

異世界転生もののテンプレでは過去は「決別」するものだが、本作における過去は「供養」するものだった。

主人公フリーレンは、折に触れて勇者ヒンメルたち旧パーティのことを回想する。そして、あの時に気付かなかったこと、やり残したこと、できなかったことを、新たな仲間たちとやり直していく。

決別された過去は、忘れられるか封印される。蓋をするだけなのでわりと簡単だ。しかし、消えたわけではないので、ふとしたきっかけで思い出したり封印が解けることもある。すると過去は「呪い」になって追いかけてくる。

供養された過去は、教訓や未来への礎となり人間を強固にする。重い後ろめたさから解放されて、新たな一歩を踏み出す希望になる。だが、現実世界で過去を供養するのは難しい。不可能な場合も多い。

作中で繰り返し描かれる供養は、過去の救済という上質なエンタメ成分になっているだろう。新たな旅の目的地は「魂の眠る地 オレオール」とのことで、供養はストーリーの中核にもなっているようだ。

剣と魔法と美談

デンケンに一般攻撃魔法を放つフリーレン
出典:葬送のフリーレン| #21 魔法の世界| © 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
主要キャラは皆チート級の能力or特殊な才能を持っている。

物語全体の構造は面白いと思う反面、各エピソードで描かれる人間ドラマには特にピンとくるものがなかった。

こてこての激甘設定ではないのだろうが、基本的には甘口のお話だった。

  • 主要な登場キャラクターが持つ特別な才能・能力・成長
  • 一旦下げて上げることで高揚感を強化する演出
  • 醜貌不在の美化された世界

などなど。娯楽なのだから甘口なのは良いことだ。

ただ、臭いものに蓋をして、都合のいい部分のみ強調して「美談(綺麗事)」にする典型的な大衆迎合が気になった。例えば、フリーレンの価値観が変わっていくという指向。

僕は、最初に描かれるフリーレンの価値観や人との距離感を見て「おもしろい!エルフの生態や文化においてはそういう生き方や感じ方もあるのだろう」と思った。

しかし、作品の中ではフリーレンの価値観は第一話から否定され塗り替えられていく。人の都合に合わせた、或いは大衆受けしそうな「承認・帰属・虚栄」などを満足させる方向で。

フリーレンが「人のことをもっと知るべきだった」と悔恨する様は、人々が欲して止まない「自分のことを知ってほしい、認めてほしい」という承認欲求に刺さるだろう。

そういう設定のキャラクターだと考えればそれまでだ。だが、多様性、多数派、少数派、意見、思想、圧力…、つい色々と考えてしまうなあ🤔

まとめ

4.0

アニメ『葬送のフリーレン』、設定が興味深く面白かったです。

風邪を引いて寝込んでいるときに観たのですが、なんか良かったです🙄

甘いだけじゃなく滋養もあるアニメ作品を観たいときに良いと思います。

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