映画『ジャヌスとサムの酔っ払い道中』のレビュー・感想・紹介記事です。
Amazonプライムビデオの会員見放題でコメディ作品を探していて見つけました。
「青春」+「ブラックジョーク」+「下ネタ」が良い塩梅のコメディでした👍
どんな作品?
基本情報
タイトル | ジャヌスとサムの酔っ払い道中 (原題:Super bourrés) |
---|---|
制作年 / 制作国 | 2023年 / フランス |
長さ(尺) | 1時間19分 |
ジャンル | コメディ |
キーワード | 青春、ユーモア、ブラックジョーク |
監督 | バスティアン・ミロー |
出演 | ピエール・ゴメ、ニナ・ポレット |
あらすじ
高校生活最後の日。卒業パーティにお酒を持っていくことになったジャヌスとサムは、お酒が原因で死んだジャヌスの父親の地下室を物色し目ぼしいボトルを探す。すると、そこに奇妙な装置を見つけて…。
出典:ジャヌスとサムの酔っ払い道中 – MyFrenchFilmFestival
雰囲気・傾向
おもしろさ (知性、好奇心) | |
---|---|
たのしさ (娯楽、直感) | |
コミカル (陽気、軽快) | |
シリアス (陰鬱、厳重) |
感想・考察
酒好きの村人たち
出典:ジャヌスとサムの酔っ払い道中 | 2022 | © Take Shelter – Cine-@ – Zinc
舞台はフランスの田舎村。
どうやら酒に関して色々と問題を抱えたコミュニティらしく、村長が作った禁酒に関する条例に反発が出ている。
「何をしても構わんが、酒だけは奪うな」の言葉が色々と物語る🤣
登場する村人たちは皆、一癖二癖ある変わり者として描かれる。一風変わった慣習がある辺鄙な田舎の雰囲気を醸し出していた。
ジャヌスとサム
出典:ジャヌスとサムの酔っ払い道中 | 2022 | © Take Shelter – Cine-@ – Zinc
主人公は幼馴染の高校生二人組。
ジャヌスは内気だが頭の良い華奢な少年。母親が村長で、父親は事故で亡くなっている。
サムは、気が強くてガッチリふくよかなプラム農家の娘。
ジャヌスとサムの対照さが、言動による性格だけでなく、見た目の体格でも分かりやすく表現されているのが印象的。
出典:ジャヌスとサムの酔っ払い道中 | 2022 | © Take Shelter – Cine-@ – Zinc
二人は行動を共にする。二人の距離感は、ジャヌスがサムのお腹を枕代わりにするくらい近しい。恋愛感情は示されない、二人の絆は友情だ。
サムは、高校を卒業したらジャヌスと一緒に事業を立ち上げて一山当て、退屈な村から出ることを夢見ている。今のままだと実家のプラム農家を手伝う道しか自分に残されていないことを理解している。
一方、ジャヌスは大学受験に合格していて、高校卒業後は村を出ていくことになっている。しかし、そのことをサムに言いそびれている。
モラトリアムは残り僅か……。
人生は往復ビンタ
出典:ジャヌスとサムの酔っ払い道中 | 2022 | © Take Shelter – Cine-@ – Zinc
前途に憂いを抱えた高校生二人に向かって、サムの姉の元カレである酒屋の兄ちゃんがストレートに人生観を語るのが印象に残った。
卒業したら人生はクソだ。
高校は楽園だ、今を楽しめ。まだ自由に遊べるだろ。
大人になったら何でも責任を伴う。つらいぞ。
夢はあるか?
早く捨てろ。
みんな夢を抱いてた、でも現実に打ちのめされる。
ビンタされ続けるんだ。苦しいぞ。
覚えとけ、人生は往復ビンタだ。
いいか?
俺を見ろよ。年を取るのは残酷だ。
早く死ぬに限る。自動車事故で。理想の死だ。
酒屋のレジで商品のバーコードを「ピッ、ピッ」て読み取りながら、特に落ち込んだり暗くなるわけでもなく、淡々と話し続ける。
ジャヌスの父親は、飲酒運転による交通事故(木に突っ込んだ)で亡くなっている。そのジャヌスを目の前にしても気兼ねせず「理想の死だ」とまで言っちゃうんだよなあ。
地方からの脱出の機会を逃した若者の絶望。自分は故郷から出ることなく片田舎で一生を終えるのだろう、という閉塞感が透けて見える。
なかなかにブラックなジョークだ😂
下ネタ
出典:ジャヌスとサムの酔っ払い道中 | 2022 | © Take Shelter – Cine-@ – Zinc
下ネタが散りばめられていて楽しかった😆
暗喩から、あからさまなものまであって面白い!
すごくオープンに性に関する指導をする警官たちのくだりは傑作だった。
(酒の入った瓶をロバに積んで運んでいたところ、警察官二人組に見つかって職務質問されるジャヌスとサム。だが、荷物から出てきたのはサムの母親が所有している張形だった…)
ジャヌス「母さんのです」
警官1「恥ずかしく思うな、みんな同じだ。体に興味を抱く、若い頃はな。穴に突っ込みたくなる年頃だ」
警官2「そうだよな、焦らなくていい。俺も前立腺を探すのに何年もかかった」
警官1「リラックスが肝心だ。快感を楽しめ。シンプルに楽しくだ」
警官2「ローションを塗れ」
警官1「ヌルヌルのほうが気持ちいいだろ。行っていい、(職質は)終わりだ」
上記のやりとりは、下ネタギャグであり、イイ話でもある。ギャグにもなっているということは、当たり前でないということだ。
性のあり方がより自由でオープンなものになったら、これは「下ネタギャグ」ではなく当たり前の指導になるのだろうと思った。
見方によっては重い話をコメディの切り口で軽やかに描いていて楽しく鑑賞できました。
ローテンションでのんびり「フフッ」って笑いたいときなんかに良いんじゃないでしょうか😊