【読書感想/レビュー】本格推理小説『雪密室』法月綸太郎シリーズ

雪原と足跡

著者と同名の主人公が活躍する「法月綸太郎」シリーズの第一作目『雪密室』を読んだ感想・紹介記事です。

雪降る山荘の離れで起きた奇怪な密室殺人の謎に、中年警視&推理小説家(兼探偵)の親子タッグが挑む!

記事の一部にネタバレ感想が含まれていますが、任意で閲覧できるように初期状態では非表示となっています。

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読者への挑戦状

読者への挑戦

このページまでの記述において、篠塚真棹を殺害した犯人を指摘するために必要なすべての手がかりがそろいました。

篠塚真棹を殺害した人物はだれか?

そして犯人はいかにして、犯行現場である離れから姿を消したか?

この二つの問いに答えてください。…

出典:『雪密室』(1989) 231p | 法月綸太郎 | 講談社.

作中の解決パート開始直前に挟まれる著者からの挑戦状。
著者と対決するゲーム感があってこういう推理小説も好きです!

作品情報

『雪密室』は1989年に発表された法月綸太郎の推理小説。著者と同姓同名の推理小説家が主人公となっている法月綸太郎シリーズの第一作目。

事件の密室トリックを暴く「Howdunit(ハウダニット)」、犯人を特定する「Whodunit(フーダニット)」を楽しめる本格推理小説となっている。

  • タイトル:雪密室
  • 著者:法月綸太郎
  • 出版社:講談社
  • 初版発行年:1989年(文庫版:1992年)
  • メディア:単行本、文庫本、電子本
  • ページ数:279p
  • ジャンル:ミステリー、推理小説、探偵小説

本編部分は文庫版で269ページと短めで、お話もテンポ良く進むため、軽快にサクッと読める感じでした。

あらすじ

招待状を受けて信州の山荘「月蝕荘」に休暇で訪れた警視庁の法月警視。

山荘に到着して、なにやら腹に一物ありそうな山荘の主、関係者、他の招待客たちと会するのだが、その翌朝に招待主の美女が遺体で発見される。

現場の離れの周囲は新雪に覆われており、そこには犯人らしき人物の足跡もなく密室であったため、地元の警察も自殺と断定するのだが、法月警視は事件の臭いを嗅ぎつける。

事件が有耶無耶のままに片付けられる事態を防ぐために、法月警視は推理小説家で探偵の息子「綸太郎」を山荘に呼び寄せ事件の解決に挑むのだが…。

作品の雰囲気

舞台は日本、時代設定はおそらく本作が発表されたあたりの1980年代。

主人公は、(※著者と同名の)推理作家「法月綸太郎」と、父親の警視庁勤めの中年警視「法月貞雄」。

本作ではお父ちゃんの法月警視がメインとなるが、謎の核心に迫る探偵役は遅れて舞台に上がる息子の綸太郎になっていた。

法月警視の苦悩や劣勢が描かれる序盤~中盤にかけての話はやや陰鬱でドロっとしているが、探偵役の綸太郎がやってくると空気が変わって一転攻勢な感じになり爽快感がある。

『雪密室』はいわゆる”本格推理小説”で、作中の事件・捜査・推理パートなどで、謎を解くための情報が提示される「フェア」な作りとなっている。

上記した「挑戦状」部分まで読み進めたら、一度読み返して著者と対決してみるのも面白い読み方の一つです。
逆に、推理をほっぽりだして解決パートを読み「あ~、なるほど」と納得感を楽しむのも楽しいですな~。

ネタバレ感想

ネタバレが含まれるので未読の方は注意、クリックで開閉します。
 なぜか最初に描かれる怪しさ満点のエピローグ。結婚式での捕り物において新婦に「あなたの大切な人に手錠が掛かる」ということで、あからさまに沢渡恭平を連想させる。
このミスリードには二面性があって、「恭平に疑いの目を向けさせる」と、ミスリードに気付いた読者には「恭平が犯人でない」と深読みさせる効果がありそうだった。
しかしこれは、読者の思考を二者択一に狭めて惑わすための文字通りの”ミスリード”で、「エピローグ自体は事件の謎とは直接関係ない」という罠だった。
私は見事に騙されてしまいました(ノ∀`)アチャー

なぜか最初に描かれる怪しさ満点のエピローグ。結婚式での捕り物において新婦に「あなたの大切な人に手錠が掛かる」ということで、あからさまに沢渡恭平を連想させる。
このミスリードには二面性があって、「恭平に疑いの目を向けさせる」と、ミスリードに気付いた読者には「恭平が犯人でない」と深読みさせる効果がありそうだった。
しかしこれは、読者の思考を二者択一に狭めて惑わすための文字通りの”ミスリード”で、「エピローグ自体は事件の謎とは直接関係ない」という罠だった。
私は見事に騙されてしまいました(ノ∀`)アチャー

殺害の実行犯は篠塚国夫ということで事件は一応解決・決着するけど、沢渡恭平の裏の顔を垣間見た後だと、恭平も隠蔽工作以上の関与をしていたような気もしたり。
真棹に対して屈折した愛情を持っていて、事件後に憔悴しきった篠塚国夫なら、沢渡兄弟で上手くまるめこんで車での自殺にも追い込めたんじゃないかなあ。
作中のラストで、恭平は「殺人犯の娘と結婚するような男ではない」と示唆されるのも何だか尾を引く。

まとめ

★★★★

著者との謎解き対決では「密室トリックは看破、犯人は当てられず」で一勝一敗な感じでした。あのミスリードに最後まで惑わされてしまいました!

犯人やトリックなどの謎が解き明かされたときの爽快感や驚き(どんでん返し感)はあまり強くない印象でしたが、主人公「法月親子」のちょっと風変わりな父と息子の関係性は魅力的でした。

文量が少なめの短め長編小説となっていてサクサク読み進められる点も良かったです。あまり長いと読み疲れたり、中だるみするので丁度良い感じに読めました。

もう30年前の作品ですが、2010年代以降もシリーズの新作が出ているようなので、続編にも手を出してみたいと思います!

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となはざな

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