【読書感想/紹介】SF漫画『攻殻機動隊 2』 著:士郎正宗

4.0

士郎正宗の漫画『攻殻機動隊 2 MANMACHINE INTERFACE』の読書感想・紹介・レビュー記事です。

AIと融合した全身義体のサイボーグ「草薙素子」の後日談を描く原作漫画の第2巻。

電脳化・義体技術・人工知能など硬派な近未来SFでありながら、日本神話や神道など神秘的な要素も絡めた非常に内容の濃い作品です。

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作品情報

タイトル 攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE
著者 士郎正宗
出版社 講談社
初出 2000年
ページ数 304(紙書籍)
価格1,430円(Kindle版) 
キーワード SF、サイバーパンク、AI、人工生命、義体、神道

作品概要

本作『攻殻機動隊 2』は、 近未来世界で繰り広げられるSFアクション漫画『攻殻機動隊 1 GHOST IN THE SHELL』の続編。

『攻殻機動隊』の舞台は、「マイクロマシンを用いた電脳化」、「肉体を高機能な機械に置き換えるサイボーグ技術(義体化)」、「世界を覆う高度なネットワーク」等が発展した2029年頃の近未来日本から始まる。

作中世界は、第三次世界大戦が起きていて、日本が三度被爆しているなど、史実とは違う歴史を歩んだパラレルワールドとなっている。このあたりの雰囲気は、『攻殻機動隊』の誌面連載が「冷戦の終決宣言」や「ソ連崩壊」以前の1989年から始まったことからも窺える。

前作の概要

第1巻は、前述のような高度な技術と架空の歴史を背景とした”SFアクション”の色合いが濃い作品。

主人公は、脳と脊髄以外を全て義体化(人工器官とマシン)した女型サイボーグ『草薙素子(くさなぎもとこ)』。

彼女は超ウィザード級ハッカーであり、高機能義体を巧みに操る戦士でもあり、精鋭ぞろいの部隊を束ねる指揮官でもある。

その彼女が、荒廃と腐敗が蔓延る戦後日本で、犯罪の芽を積極的に摘む攻性の諜報機関「公安9課(通称:攻殻機動隊)」の現場指揮官として活躍する姿が描かれる。

あらすじ

本作は、前作『攻殻機動隊1 』で「人形使い」と呼ばれるAIと融合した主人公「草薙素子」のその後を描く物語。

舞台は1作目から4年以上が経つ2035年。

主人公は、草薙素子の同位体「荒巻素子(あらまきもとこ)」。義体・AI・マイクロマシンなどの各分野で高い技術を持つ巨大多国籍企業ポセイドン・インダストリアル社の考査部部長に就いている。

彼女は、ポセイドン社が運営するクローン臓器託育施設に対するテロ事件を調査していく過程で、自らと同じ草薙素子の同位体たちと邂逅するのだった…。

方向性

おもしろさ
(知性・好奇心)
4.5
たのしさ
(直感・娯楽)
4.0
ふんいき
(←暗い/明るい→)
3.5
よみやすさ
(文体・構成)
2.0
よみごたえ
(文量・濃さ)
4.5

前作『攻殻機動隊1』のテーマとして濃かった電脳化・義体化・未来社会・人間心理・社会哲学な「サイエンス・フィクション」から、幻想・神秘な「サイエンス・ファンタジー」の方にシフトしている面が印象的。

また、サイボーグ化された主人公「草薙素子」と公安9課の面々によるバトルアクションから、電脳世界での電脳戦に主戦場が移っているのも特徴。

画の面では、デジタルな3DCGの割合が増え、カラーページが全体の半分以上となっていて豪華。また、軽いエロ・セクシー描写も大幅に増えていて、2~3ページに1回以上はパンチラやヌードに近いもの (乳首やヘアはほぼ描かれない) が描かれている。

1作目と同様なのは、1ページに詰め込まれた情報量が非常に多くて、難しいけど噛めば噛むほど旨味が出てくるところ。

軽く1周読んだだけでは内容を理解するのは困難なレベルの難しさで、2~3周しても意味不明箇所が多く難解だったりする。

1ページあたりのカロリーがすごく高いです。
意味を知らない単語も結構出てきますし、トータル3周くらいはしたと思うのですが、まだ分からないことだらけ。でも面白い!

読書メモ

ネタバレを含んでいます。未読の方はご注意ください。

なぜ有線が好きなの?

👉😅「はい?!」

荒牧素子はドクターの方が、ドクターの方は荒牧素子の方が有線を好んでいる認識している?

荒巻素子は潜水艦と船の接続を見られたのかと訝しむが、どうやらそうではない様子。

ドクターはなぜ荒牧素子の方が有線を好むと思ったんだろう…。

魂合環

霊能局の審霊官「魂合環(たまいたまき)」は、能力の真偽や性質が定まらず解釈に悩む。

荒牧素子は、自身の意識に現れる白いたぬきや龍と一体化したような人型の心霊現象を、アンタレスが魂合環を霊能力ごと駒として操っていると解釈したぽい。

一見オカルトのようでも法則が示されれば分かりやすいのだけど、これといったものはなくて、何だかピンとこなかった。

エピローグにおける草薙素子とのやり取りは、時間軸を自由に移動できるということなのか、或いは記憶を辿っているのか…。

「魂探女(たまさぐめ)」の元ネタは「天探女(あめのさぐめ)」になるんだろうか。高位の巫女さんって感じか。最後の瞳に移った樹は何を意味する。

グレスとの通信

自分が相手に見せていると思っているものと、相手が実際に見ているものは必ずしも一致しない。

グレスはきちんとした格好のアバターを使っているつもりで、歯磨きやトイレ中の姿を覗き見られている。保安上の都合もありそうだけど、支援AIが荒巻素子を疑うのも分かるような…。

現実では、ビデオチャットがこれに近いものとして実現・普及している。

リー保安部長の「!!」

荒牧素子は電脳汚染されている3人を特定していながら、逆探の機会を得るために敢えて3人が体を乗っ取られるまで待った。

マンクラフトver.8を搭載したサイボーグ「07」と「12」がブンナ武官長とハブ。残る「G1」が、あの女の子ということかな。

荒巻素子が落ち着き払って人差し指を立てるジェスチャーを示したことで、リー保安部長はスカされた事を悟った。

ハブはソフトウェア的な部分を初期化することで汚染を簡単に除去した。

左聴覚

アンタレス・スピカと戦っているときに、左聴覚からの攻撃で制圧されてしまったのは、何だったんだろう。

クラリスを動かしている時にも、内耳に異常はないのに左聴覚に機能不全が発生して遮蔽していた。その後、レブリス経由で潜ったときに何か仕込まれたとか?

そういえば、1巻の第2話『SUPER SPARTAN』では、聴覚デバイスの異常によって敵の脳潜入から辛くも脱していた(絵的には左耳を押さえている)。関係なさそうだけど。

どこへ向かうのか

草薙素子・人形使い・同位体・融合したゴーストたち。人間を超越した新たな人工生命たちだけど、結局やることは自滅を防ぐこと、広義での種の保存なんだろうか。

「生老病死を持ちながら模倣子は完全に継続性を保つ」ことが期待される珪素生物も、その機能によって存在の滅亡を防ぐことに集約しそうな気がする。

だとしたら、彼らも本質的には元来の生き物や物質と大して変わらない存在なのかもしれない。っていうのはさすがに安直すぎるか。

まとめ

4.0

攻殻機動隊シリーズは大好きなものの、1巻とは大分毛色の違う作品という話を聞いていて、何となく読んでいませんでしたが、すごく面白かったです。これはこれで良い感じ!

AI、電脳世界、義体技術(サイボーグ)などが進化していく際の道の一つとして、こういった神秘的なベクトルを織り交ぜた作品も魅力的だと思いました。SFが好きなら読んで損のない作品でしょう。

注意点としては、全編通してライトなエロ描写が多いところと、難解なため読むのに体力と気力が必要といったあたりかと思います。

関連作品

原作漫画『攻殻機動隊 2』との関連性が高めorおすすめな攻殻機動隊の関連作品をピックアップしています。

原作漫画

難易度は高いけど抜群に面白いです。

TVアニメシリーズ

2003年の30分枠のTVアニメ第1シリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』。

攻殻機動隊が初めての場合は本作から入るのもおすすめ。原作から結構アレンジされているが、1話毎にメリハリがあってスタイリッシュなSFとアクションを楽しめる快作。

続く第2シリーズ『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』。

第2シリーズに続くスペシャル版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』。尺は1時間48分。

アニメ映画

押井守監督による1995年の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』。

本作ラストの「ネットは広大だわ」のその後が、本記事の原作漫画『攻殻機動隊 2』に当たる。

押井守監督による2004年の『イノセンス』。

バトーが主人公の作品。9課を離れた草薙素子も一応登場する。

他にも関連作品がいっぱいあるのでチェックしてみるのも良いかもしれません。

ARISE、SAC_2045、ハリウッド実写映画、小説、漫画などなど。

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