本・読書感想

【読書感想/紹介】動物エッセイ『生き物の死にざま』 著:稲垣栄洋

3.0

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稲垣栄洋の動物エッセイ本『生き物の死にざま』の読書感想・紹介・レビュー記事です。

29種の動物の死に様を情緒豊かに綴った独特のエッセイ。合う人にはすごく好かれそうだけど、合わない人には結構しんどそうな、そんな本でした。

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基本情報

  • タイトル:生き物の死にざま
  • 著者:稲垣栄洋
  • 出版社:草思社
  • 初版発行年:2019年
  • ページ数:207(単行本)
  • 価格:1,463円(Kindle版)
  • キーワード:生物、動物、エッセイ
稲垣 栄洋
稲垣 栄洋さんの後を追って、Amazon.comの稲垣 栄洋の著者ページから参考資料を探します。

どんな本?

『生き物の死にざま』は、2019年に出版された生き物系のエッセイ本。著者は農学博士の稲垣栄洋。

生き物(動物)がどのように死んでいくのかという「死にざま」に焦点を当てている。取り上げられている動物は全29種類、小さいものはプランクトンから、大きいものは象まで。

目次

  1. 空が見えない最期──セミ
  2. 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ
  3. 母なる川で循環していく命──サケ
  4. 子を想い命がけの侵入と脱出──アカイエカ
  5. 三億年命をつないできたつわもの──カゲロウ
  6. メスに食われながらも交尾をやめないオス──カマキリ
  7. 交尾に明け暮れ、死す──アンテキヌス
  8. メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス──チョウチンアンコウ
  9. 生涯一度きりの交接と子への愛──タコ
  10. 無数の卵の死の上に在る生魚──マンボウ
  11. 生きていることが生きがい──クラゲ
  12. 海と陸の危険に満ちた一生──ウミガメ
  13. 深海のメスのカニはなぜ冷たい海に向かったか──イエティクラブ
  14. 太古より海底に降り注ぐプランクトンの遺骸──マリンスノー
  15. 餌にたどりつくまでの長く危険な道のり──アリ
  16. 卵を産めなくなった女王アリの最期──シロアリ
  17. 戦うために生まれてきた永遠の幼虫──兵隊アブラムシ
  18. 冬を前に現れ、冬とともに死す〝雪虫〟──ワタアブラムシ
  19. 老化しない奇妙な生き物──ハダカデバネズミ
  20. 花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ
  21. なぜ危険を顧みず道路を横切るのか──ヒキガエル
  22. 蓑を出ることなく生涯を閉じるメス──ミノムシ(オオミノガ)
  23. クモの巣に餌がかかるのをただただ待つ──ジョロウグモ
  24. 草食動物も肉食動物も最後は肉に──シマウマとライオン
  25. 出荷までの四、五〇日間──ニワトリ
  26. 実験室で閉じる生涯──ネズミ
  27. ヒトを必要としたオオカミの子孫の今──イヌ
  28. かつては神とされた獣たちの終焉──ニホンオオカミ
  29. 死を悼む動物なのか──ゾウ

出典:稲垣栄洋|生き物の死にざま|目次|草思社

プランクトン、虫、魚、爬虫類、鳥類、哺乳類などなど。

身近な動物から、初めて見る名前までありました。

ざっくり方向性

おもしろさ
(知的/興味深い)
3.0
たのしさ
(直感/娯楽性)
2.0
あかるさ
(テーマ/雰囲気)
2.0
よみやすさ
(文体/言葉選び)
3.5
よみごたえ
(文量/情報量)
2.5

特徴として、本書を構成する成分のメインは「エッセイ/随筆」である点。生物学的・科学的に動物の最期(の仕組み)を、生態や環境なども含めて論理的に考察・解説する類の本ではない。

取り上げている動物の生態解説もある程度は含まれているが、あくまでもエッセイを綴るための前置きといった感じで、著者の想い、比喩(擬人法)を用いた寓話的物語が主体になっている。

動物1つ(項目1つ)あたりのページ数は、単行本の場合だと4~10。一つ一つのエピソードは特に長くはないので読みやすくはある。表現も平易なので小学校高学年くらいの年齢からでも読めると思われる。

苦手な部類の書き方だったので評価は辛口です。
生き物に備わっている「死」という機能を、論理的に思考するのではなく、心で感じる、みたいな方向性でしょうか。

動物エッセイ

「男」というのは、生まれながらにして悲しい生き物なのだ。
しかし、アンテキヌスの男たちは、その運命を受け入れ、全うして息絶えていく。何という男たちなのだろう。
性に溺れた生き物とさげすむこともできるだろう。交尾をしすぎる動物とバカにして紹介されることもある。
しかし、天地創造の神さまだけは知っている。生物学的には、彼らこそが、男の中の男なのだ。

出典:稲垣栄洋|生き物の死にざま|アンテキヌス|草思社

上記引用部分は、オーストラリアに生息するネズミに似た有袋類「アンテキヌス」を扱った項目の終盤あたり。

アンテキヌスのオスは約10ヶ月で成熟し、その後の約2週間が繁殖期間となる。その間は、死ぬまでひたすら複数のメスと交尾を繰り返し、大多数のオスが過剰なホルモンの分泌で最期を迎える、という話に基づいている。

つまり、本当に「エッセイ」で、科学的(生物学的)な考察でも解説でもないのが特徴。

動物たちの「死にざま(生態)」そのものには一応の説明がなされるのだけど、それがどう獲得されたのか、生存競争でどう有利だったのか、環境にどう関わっているのか、などの論は希薄。

人の感情の物差しで物事を解釈して”感動”とか”涙”を売りにしているコンテンツが好き、或いはそういう成分を求めている状態なら良書かもしれません。

まとめ

3.0

解説として面白い部分も一部あったのですが(ハダカデバネズミの生態など)、全体的に感覚的或いは情緒的な要素で構成されている印象が強かったです。

わたしは、生き物が進化の中で獲得した能力の仕組みや凄さを、面白がるタイプのいわゆる”生き物の本”が好きなので、あまり相性がよくありませんでした。

でも、論理性が欠如した本というのは、思考停止で読める利点があります。本を読みたい・感動したい、けど頭は使いたくないって時には良いのではないでしょうか。

2020年に姉妹編も出版されています。
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となはざな
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