2023年10月1日から施行される景品表示法の”ステマ規制”に関するコラム・備忘録記事です。
当サイトでも対応が必要になった”ステマ規制”。「なんだかなあ🤔」とモヤモヤしています。
全て広告
消費者は、商品のパッケージやウェブサイト、広告などの表示を見て、商品を選んでいます。
パッケージやウェブサイト、広告などは、消費者が商品を選ぶ判断材料となっているため、消費者が誤認しないように、正しく、分かりやすい表示をする必要があります。また、インターネットでの取引が増える中で消費者が商品を選ぶ際は事業者の広告であるか、それとも第三者の感想であるかが明瞭になっていることが重要です。
出典:事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック 消費者庁
その理由は、事業者による広告であれば、消費者は、広告にはある程度の誇張・誇大が含まれているものと認識しており、そのことを考慮して商品を選んでいます。
一方で、広告であることが分からないと、消費者は、事業者ではない第三者の感想であると誤認してしまい、その表示の内容をそのまま受けとってしまうかもしれません。
このような、誤認により、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選ぶことが出来なくなります。
ヒトが発する情報は全て広告だ。
ここでいう「広告」の意味は、「ヒトが発する情報は、自己の有利を増やし不利を減らすための認知を他者に促すもの」だ。商取引に限らない。
広告には利己のための何らかの思惑が、嘘が、必ず含まれる。
- 虚言で騙す
- 真意に反する態度を示す(敬意・好意・謝意・誠意など)
- 外見を装う(化粧・整髪・加香・被服・筋トレ・ダイエット・整形手術etc)
- 権威を笠に着る(地位・交友・資格・免許・神)
- 仲間であると思わせるための共通点を作る・騙る
- 安いものを高く売る、本当は高くつくものを安く売る
- 無関係・中立であると思わせることで有利を得ようとする(ステマ)
偽ったり、煽てたり、貶したり、装ったり、上げればきりがない。情報戦だ。
意識的か無意識的か、賢か愚か、善意か悪意か、高尚か低俗か。種類や程度に差はあれど、偏り・偽りによる嘘は避けられない。
インフルエンサーの言葉も、どこぞのサイトのレビューコメントも、そこかしこのバナーも…、メディアの種類は関係ない、ヒトが発する情報はそもそも全て「広告」だ。
そもそも全て「広告」なのだから、ステルスも何もない。
事業者ではない”第三者の感想”にも、損得・思想・無知・無能による誇張・誇大・間違いは大いに含まれている。利害に無関係・中立な者など存在しない。
分かり切っているのに「広告」であることを明示しろと強制するのは馬鹿げている。
騙される消費者は減らない
ステマ規制は、消費者(大衆)の「騙された」という被害感情・不満を減らすものだ。騙される消費者そのものは減らない。
情報に含まれる虚実を精査して、その中から己の血肉にできるものを選別する処理能力を持たない者は、いずれにしても騙されるからだ。
「騙された(被害感情)」となるのは、情報の精査を他者に委ねてしまった消費者だ。自ら精査を行った消費者の場合は、自己の能力不足で情報戦に「負けた・失敗した(自己責任)」となる。
事業者の広告であるかどうかを明示させることで、商品選びの結果生じる後悔・不満の性質を「騙された(被害感情)」から「負けた・失敗した(自己責任)」にすることができる。
「広告だと分かった上で、自己責任で選んだのでしょう?」で被害感情を否定する理屈が通る。「被害感情」より「自己責任」の後悔・不満を抱えた消費者の方がコントロールしやすい。
法律には社会問題を「収拾する」という働きも期待される。「騙された」という負の感情を抑制するのは間違っていないと思う。
直接的暴力に比べればましとはいえ、陰湿で執拗な騙し合いによる生存競争も楽ではありません。
この手の馬鹿げた規制は、技術・文化・社会が高度複雑化するほど増えるでしょう。げんなりします😫