【読書感想/紹介】本格ミステリ短編集『犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題』著:法月綸太郎

3.5

3.5

著者と同名の探偵作家「法月綸太郎」が登場する本格ミステリ短編集『犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題』の読書感想・紹介・レビュー記事です。

星座とギリシャ神話にまつわる事件を描いた6つの短編が収録されています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

基本情報

  • タイトル:犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題
  • 著者:法月綸太郎
  • 出版社:光文社
  • 初版発行年:2008年
  • ページ数:335p(文庫版)
  • 価格:660円(Kindle版)
  • ジャンル:ミステリー、本格推理、短編集
法月 綸太郎
法月 綸太郎さんの後を追って、Amazon.comの法月 綸太郎の著者ページから参考資料を探します。

どんな本?

『犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題』は、著者と同名の作家探偵「法月綸太郎」が登場するシリーズの本格推理の連作短編集。

初版は2008年、収録作品は2004年~2007年に掛けて発表されたもの。黄道十二星座&ギリシャ神話にまつわる事件に綸太郎が挑む「星座シリーズ」の前半6作品が収録されている。

後半6作品は続編の「犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題」に続きます。

収録作品

  • ギリシャ羊の秘密
    • 牡羊座
    • 河川敷で起きたホームレス殺人事件。容疑者の絞り込みに苦戦するが、犯人が不自然な行動を取っていたことが明らかになる…
  • 六人の女王の問題
    • 牡牛座
    • マンションから転落死した売れっ子ライター。彼の遺作となった連載のコラムには不可解な俳句が残されていた。俳句をヒントに綸太郎が事件の謎に迫る。
  • ゼウスの息子たち
    • 双子座
    • 山中の湖畔にあるホテルで起きた殺人事件。作品を書き上げるためにカンヅメ予定だった綸太郎だが、事件の解決に駆り出されるはめに…。
  • ヒュドラ第十の首
    • 蟹座
    • 霊園で殺害されていた男が、「ヒラド・ノブユキ」という同名の男達をリストアップして探していたことがわかる…。
  • 鏡の中ライオン
    • 獅子座
    • 自宅マンションの駐車場で発見された売れっ子女優の他殺体。有力な容疑者が浮上するのだが、彼には鉄壁のアリバイがあるのだった…。
  • 冥府に囚われた娘
    • 乙女座
    • 水中毒で昏睡状態に陥った女子大生。昏睡中の彼女の携帯電話から友人たちに送られた不気味なメールが、事件の真相を浮かび上がらせる。
『ゼウスの息子たち』『ヒュドラ第十の首』は、懸賞付きの犯人当て企画で新聞や雑誌に掲載された作品とのこと。

個人的にわりと好きなキャラ、よろずジャーナリストの飯田才蔵が『ギリシャ羊の秘密』『冥府に囚われた娘』に登場します。

ざっくり方向性

おもしろさ
(知的/興味深い)
4.0
たのしさ
(直感/娯楽性)
3.0
あかるさ
(テーマ/雰囲気)
3.5
よみやすさ
(文体/言葉選び)
4.0
よみごたえ
(文量/情報量)
3.0

面白さは「安定の法月綸太郎シリーズ」といった感じ。本格推理小説らしい展開で謎を解く面白さを各短編で楽しめる。

直感的・娯楽的な楽しさは、可もなく不可もなく”まあまあ”といった印象。コンセプトの「星座・ギリシャ神話」が、ギミックとして上手く機能している作品は少ないと思う。こじつけっぽくなっている部分が微妙。

各短編の長さが大きく違わないのと、お話もテンポよく進むので、全体的な読みやすさは良好だと思う。

各編の導入部にある星座・ギリシャ神話のエピソードは、何だかテレビドラマ『トリック(TRICK)』を思い出しました。味のあるナレーション!

ネタバレ感想

警告バナー

ネタバレを含む感想です。未読の方はご注意ください。

ゼウスの息子たち

1番面白かった作品。

作品の創造主である法月先生のゴッドパワーにまんまと踊らされてしまった(良い意味で)。

これみよがしに示される双子トリックの可能生と、「達也」「和也」「タッチ」というキーワードで、すっかり一卵性双生児のカップルだと思い込まされた。このどんでん返しは爽快!

ちょっぴり非日常な山中のホテルというロケーションと、綸太郎に順番に相談しにくる容疑者達というシチュエーションも読んでいて楽しかった。事件を起こすための舞台としてはベタなんだろうけど良いもんだ!

六人の女王の問題

俳句暗号の仕掛けには感心させられたのだけど、謎を解くための前提となる情報・知識がニッチなうえに複合的だから、解答を示されても楽しさや面白さは希薄だった。

ヒュドラ第十の首

『気分は名探偵 – 犯人当てアンソロジー』にも収録されている作品。既読でした。

微妙な3/6

『ギリシャ羊の秘密』『鏡の中ライオン』『冥府に囚われた娘』はいまいちだった。

どこまでが「論理的」って言えるのか考えてみても、どうも上記3作はしっくりこなかった。筋通ってるのかな…?

フィクション前提だから事件設定の”嘘”は気にならないけど、登場人物の行動/犯行の論理性が整合のとれる範囲から逸脱しているような。

例えば『ギリシャ羊の秘密』だと、

  1. ゴールデン・フリースのジャケット(金の羊毛がシンボル)
  2. 金の羊毛といえば「おひつじ座」
  3. 「おひつじ座」といえば英語でAries
  4. ジャケットが裏返しだからAriesを逆に読んでSeira
  5. 自分の名前が『せいら』だからバレるかも
  6. で持ち去って、自らが犯人であることを示す「逆ダイイング・メッセージ」になる

なんて思考や行動は、コンセプトに沿わせるための無理筋に思える。苦しいよなあ(´ε`;)ウーン…

まとめ

3.5

6作品中、面白いと思えたのは3作品でした。総合的には”まあまあ”でしょうか。

12星座・ギリシャ神話の要素が肌に合うかもポイントでしょうが、気軽にテンポよく読める本格推理小説を読みたい際には悪くないと思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事をシェアする
どんぱっぱをフォローする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
となはざな
コメントの通知/購読設定
受け取る通知
guest
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
タイトルとURLをコピーしました