本・読書感想

【読書感想】短編小説集『ボッコちゃん』 著:星新一

4.0

星新一の短編小説集『ボッコちゃん』の読書感想・レビュー記事です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

基本情報

タイトルボッコちゃん
著者星新一
初出1971年
(収録作品は1958年~1968年)
ジャンルミステリー、サスペンス、SF、ファンタジー、ホラー
キーワードショートショート、ユーモア、風刺、どんでん返し、古典

作品概要

『ボッコちゃん』は、星新一が1971年に発表した短編小説集。タイトルと同名の作品を含む、著者自選の50編が収録されている。

収録作は、1編あたりの長さが大体3~6ページ(1000~2000文字)くらいの、いわゆる「ショートショート(超短編)」。

ジャンルはバラエティに富んでいる。ミステリー、サスペンス、SF、ファンタジー、ホラーの他、寓話や童話的なお話も含まれる。鋭い風刺、意外な結末、不思議な情緒、思わず笑ってしまうようなユーモアなど盛り沢山!

星新一の公式サイトに掲載されている初出データによると、本作に収録されている作品の初出は1958年~1968年となっていた。

方向性

おもしろさ
(知的、好奇)
4.0
たのしさ
(娯楽、直感)
4.0
コミカル
(陽気、軽快)
3.5
シリアス
陰鬱、厳重
3.5
よみやすさ
(文体・構成)
4.5

趣きの異なる色々な作品が収録されている。秀逸な落ちの面白い作品、トボけた雰囲気で最後に笑わされる作品、静かな怖さが凍みる作品、何だかよくわからない不思議な作品、などなど。

共通している特徴は、物語の舞台や登場人物の描写が必要最小限なこと。設定が厳密でないため想像力を働かせやすく、これが読む楽しさに繋がっているようでもある。

ショートショートの特徴である短さと、難解さのない易しい表現でサクサクと読み進めることができる。ちょっとしたスキマ時間にも読みやすい。

簡潔な表現に少ない登場人物、キレの良い洗練されたお話だらけです。

書かれた時代もあってか、設定・価値観には幾分古さが感じられました。著者のあとがきによると、初期の作品が多く収録されてるそうです。

感想・考察

ネタバレを含んでいることがあります、未読の方はご注意ください。

ねらわれた星

落ちで「そういうことだったのか🤣」と笑わされた後に、自分が残酷な想像をしていたことに気付いた。

結末に至らないと「星」が地球かは分からない、二本足の生き物も「人」とは書かれていない。「皮をはぐ」というのも、どこをどのようになんて具体的には描かれない。

残酷な想像をしておかなければ、物語の結末は滑稽な笑い話にならない。笑えたということは、残酷な想像ができてしまったということだ。

人の残虐性を見透かしているかのようだった。

闇の目

両親の憂いの正体は、坊やの能力ではなく外見だった。

部屋の明かりを消しているのは、息子の顔を見たくないからだ。愛せないからだ。未知の特殊能力に対する不安、息子の存在によって強いられる境遇は言い訳にすぎない。

能力、人格に先立つ外見。原始的なセンサーでしか愛情を持ち得ないこと。風刺の効いた怖い話だった。

生活維持省

秀逸な2段落ちだった。

理想世界の悲喜、産み落とされた世界の理不尽。妄想が膨らむ!

ユートピアかディストピアか?

意図であれ、偶然であれ、恩恵を充分に享受した者には幸福な理想世界、そうでなかった者には不条理な地獄だ。

生きる権利と死ぬ義務が、誰にでも平等に与えられる社会。それは、秩序が自然の成り行き任せではなく、人の手で理性的に保たれる世界。

選別の過程は倫理的に、手段は安楽になるだろうが、結末は変わらない。ホモ・サピエンスという枠組みの中に在る限り避けられないだろう。

産み落とされた世界

欲望と打算の結果、我々が産み落とされたのは、生存競争と戦争のある世界だ。

生きる権利は言葉で”保証”されるけれど、実際の”保障”は成されない。死ぬ義務は能力(才能・体質・所属・財力・運など)によって不平等に強いられる。

主人公の辞世の思いには、現実社会の営みに対する批判も含まれていたと思う。

まとめ

4.0

『ボッコちゃん』面白かったです。

全体的に風刺の印象が強かったです。変化球で人・社会・物事について冷徹に指摘と批判をしているような。でも、語り口は棘がなくて優しいから読みやすい。不思議な雰囲気でした。

短いお話の中に表層的な楽しさと深層的な含蓄が含まれていて、どんな意味が込められているのか深読みするのが楽しかったです。読み応えも充分でした。

前に読んだ”ほのぼのSF風味”が強い『きまぐれロボット』に比べるとカロリー高かったです。

テレビドラマ

2022年にNHKで放送されたテレビドラマ作品。1話15分くらいの短編ドラマです。

購読方法

星新一の作品は以下の書店、電子書籍ストアで購入できます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事をシェアする
どんぱっぱをフォローする
サイト支援
当サイトでは読者の方からの寄付・支援を募っています。 記事が「おもしろかった」「役に立った」という方は、よろしければ支援をお願いします。
スポンサーリンク
となはざな
コメントの通知/購読設定
受け取る通知
guest
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
タイトルとURLをコピーしました