富豪の別荘を舞台に探偵が事件解決を目指す、森博嗣の長編推理小説「暗闇・キッス・それだけで」の読書感想&紹介記事です。
作品情報
「暗闇・キッス・それだけで」は、2015年に発行された森博嗣の長編ミステリー小説。
2007年に発行された「ゾラ・一撃・さようなら
- タイトル:暗闇・キッス・それだけで
- サブタイトル:Only the Darkness or Her Kiss
- 著者:森博嗣
- 出版社:集英社
- 初版発行年:2015年
- 価格:713円(Kindle/文庫)
- ジャンル:ミステリー、推理小説、ハードボイルド
あらすじ
本の取材のために避暑地に建てられたとある富豪の別荘を訪れた探偵(兼ライター)の主人公「頸城悦夫」。
ところが、到着当日に別荘の敷地内で富豪の主治医が射殺される事件が発生。警察が捜査を開始するが、証拠の凶器が見つからず捜査は難航する。
取材を続けながら事件解決を試みる頸城だが、癖のある富豪一家や使用人、他ゲストの存在もあり、有力な手がかりをつかむことができない。そんな中、さらなる事件が発生する…。
読みどころ
頭をひねって犯人やトリックを暴くガチガチの推理小説というよりは、「世界観、雰囲気を楽しむミステリー」という印象だった。
主人公「頸城」の人生観・恋模様・忌まわしい過去の記憶なども描かれながらお話が展開していくため、どこか幻想的な雰囲気も感じられた。
そして、やはり楽しいのは頸城とヒロイン達の会話シーン。シンプルで機智があり、軽いんだけど重いような気もする”森ワールド”が展開する。
S&MやVシリーズの主要人物たちの会話シーンが好きな人には特に楽しめそうだった。
まとめ
犯人当てやトリックの解明という点では、あまりインパクトを感じなかったものの、推理小説としての体裁を保ちながら独特な世界観を楽しめる作品でした。
主人公「頸城悦夫」流の軟弱さや妥協も孕んだ”ハードボイルド”感は、ちょっぴり格好良くて共感もできるような不思議な感覚で好きです。
前作を読んでいなくても面白さには特に影響ないと思われるので、”頭への負荷”が軽めでテンポよく読める推理小説が読みたい人におすすめできそうでした!