アニメ映画『劇場版 艦これ』のレビュー・感想記事です。
基本情報
タイトル | 劇場版 艦これ |
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発表年 | 2016年 |
製作国 | 日本 |
分数 | 91分 |
ジャンル | ファンタジー |
キーワード | 軍艦、擬人化、 美少女、海戦、アクション |
作品概要
『劇場版 艦これ』は、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』を原作とするアニメ映画。2015年に放送されたTVアニメ1期の続編となっている。
広義のジャンルはファンタジー。狭義においては、擬人化もの、美少女もの。
第二次世界大戦期の大日本帝国海軍の軍艦を擬人化した「艦娘(かんむす)」と呼ばれる美少女キャラたちが、「深海棲艦」と呼ばれる謎の敵と戦う物語。
あらすじ
艦娘たちは深海棲艦とのいくつかの戦いに勝利して南方海域へと進出した。
敵泊地を攻略して制海権を拡大していく艦娘たちだったが、目標海域に発生した異常事態を目の当たりにするのだった…。
方向性
おもしろさ (知性、好奇心) | |
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たのしさ (娯楽性、直感) | |
コミカル (笑い、喜劇) | |
シリアス (真剣、悲劇) |
作風はシリアス路線。艦娘たちのコミカルな様子も含まれているので、極端に重苦しい雰囲気にはなっていない。
知的な面白さはほとんど含まれていない。楽しめるかどうかは登場キャラクター「艦娘(と深海棲艦)」に対する好意や愛着次第。
艦娘LOVEなファンの心理では、原作ゲームの中では「静止画+定型台詞」の艦娘が動いて喋っていることに価値があるのかもしれません。
評価
ストーリー | |
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キャラクター | |
イメージ | |
サウンド |
ストーリーはTVアニメ1期と同じで中身がない。艦娘と深海棲艦の関係が説明されるだけ。諸事情あるのだろうけど相変わらずの酷さ。
艦娘の止め絵は比較的クオリティが高い。アクションシーンの作画の質は冒頭と後半の差が大きく、後半は劇場版としてみるといまいち。
感想・考察
大味な戦闘
出典:劇場版 艦これ|(C)2016 「劇場版 艦これ」連合艦隊司令部
艦娘の攻撃を受けた深海棲艦はやたらと爆発し跡形もなく消し飛んでいた。
海戦アクションシーンが作画と演出を含めて大味だった。
気合で戦う
戦略、戦術、戦技は不問のファンタジーな戦闘で、「はああっっ!!」とか「てえぇぇっ!」って気合入れて撃てばなんか倒せちゃう感じ。
敵味方の位置・距離・陣形は謎で、攻撃目標の選定や使用する武器の選択にも合理的理由は示されなかった。
見た目は軍艦の艤装でミリタリーな装いが強いのだけど、実のところ”魔法少女もの”のアバウトな戦いだった。
味気ない演出
戦闘が大味であること自体は問題ない。ただ、基本「撃って・爆発して・水柱が立つ」の繰り返しで、アクションシーンとしての面白みがないのが残念だった。
艦娘の攻撃は砲撃だろうと雷撃だろうと一発当たれば必殺。深海棲艦は爆発して跡形もなく消し飛ぶ。映像的には、着弾して爆炎が映し出されるだけで味気なかった。
アクション映画でやたら簡単に爆発するクルマを思い出した。
漠然とした艦娘と艤装
攻撃を受けた艦娘が出血しているような描写があった。しかし、艦娘が人間然とする存在なのかは不明。マシン系ならオイル漏れ?霊体ならダメージを示すサイン(模様)だろうか?
艦娘の艤装には損傷や弾切れで使用不能になる描写があった。しかし、その艤装がリアル志向の”機械”なのか、スピリチュアルな”魔法”なのかは謎。
機械だとするなら、艦娘が背負える程度のものなんだから予備の艤装や弾薬を用意しておけばいい。魔法なら再召喚・再生成すればいいのでは?
設定を厳密に定義する必要はないだろうが、あまりにも漠然としていた。設定が行方不明の中で展開するシリアス風の戦闘には説得力や没入感がなかった。
想像の余地は楽しみになることも多い。でも、設定がここまでスカスカだと、あれこれ考えても虚しいだけだ。
空虚な説明
出典:劇場版 艦これ|(C)2016 「劇場版 艦これ」連合艦隊司令部
エヴァとまどマギを足して20で割ったような空虚さだった😒
物語の世界観を伏せたままで語られる艦娘と深海棲艦の関係が空虚だった。
吹雪と深海棲艦化した片割れの対話は粗末。その身が二つに分かれてしまうほどの情念が発生するに足る、歴史も信念も心血も描かずに美辞麗句だけが並べられた。取って付けたチープなドラマ。
リアル視点で見ると、「史実の軍艦の戦い、乗組員と縁者、建造に携わった人々、故郷、国体、戦争、侵略、敗戦、犠牲」は、物語の中で一切が伏せられる。各名称だけ拝借した状態。
ファンタジー視点においても、原作ゲームにおける提督(プレイヤー)の幻想を壊さないための強引な策が取られる。提督(司令官)は不在、守るべき国もなく、いつの時代に何を目的に戦っているのかも謎。兵站の出どころは?鎮守府・泊地の造営は誰が?
艦娘を描く際の不都合に尽く蓋をしているのだから、そりゃあ歪で空虚な説明になる。相変わらず意味不明だった。
背景の黙殺
出典:劇場版 艦これ|(C)2016 「劇場版 艦これ」連合艦隊司令部
加賀「提督とはいつ会った?前の鎮守府での所属は?その水雷戦隊の旗艦は誰?」、吹雪「えっと、それは…」。
シリアス基調でやるもんだから逆に滑稽。ばりばりに日本の夏の風物詩な氷旗はシュールだった。
TVアニメ1期では黙殺されていた作中世界と艦娘の背景をもっと明らかにして欲しかった。
吹雪の自問自答、赤城と加賀による吹雪への詰問で、一応言及されるけど温い。もっと聞くべきことがあるだろう。今は何年?出身国は?その言葉は何語?幼い頃の記憶は?あなたの力の源は?
筆舌に尽くし難い流血を強いたし強いられた悲惨な戦争の、あの大日本帝国海軍の軍艦を、美少女化してお色気要素まで持たせて、営利目的のビデオゲームやアニメにしちまってるんだ。
業の深いことは先刻承知。敗戦国の十字架は重い。肯定はできないけど、全否定はしたくない。そういうモヤモヤに斜めから変化球で切り込んでこそ”映画”だ!なんて思うのは野暮か。
枢軸国繋がりで『帰ってきたヒトラー』くらい大胆なことをやってくれたら面白かっただろうに。
まとめ
『劇場版 艦これ』は、滋味のないジャンクな作品でした。
原作ゲームは2014年~2020年まで約6年プレイして、艦隊育成SLGとしては好きでした。しかし、艦娘には特別な思い入れがないこともあってか、本作を楽しむことはできませんでした。
単品の映画作品としては単純に駄作だと思います。公開当時の原作艦娘ファン向けの祭り(イベント)としては及第点以上だったのかもしれません。
原作ゲーム
視聴方法
艦これのアニメは、動画配信サービスやブルーレイなどで視聴できます。公式サイトの最新情報ページで配信予定を確認することもできます。
TVアニメ1期
劇場版 艦これ
辛口になりましたが、登場艦娘が好きなら楽しめるかもしれません。
「長門、陸奥、大和、金剛、比叡、榛名、霧島、赤城、加賀、瑞鶴、翔鶴、龍驤、鳥海、加古、古鷹、衣笠、天龍、龍田、川内、神通、大淀、夕張、吹雪、夕立、睦月、如月、暁、間宮」あたりでしょうか。
TVアニメ2期
TVアニメ2期『「艦これ」いつかあの海で』は、2022年11月放送開始予定とのことです。