

2021年のホラー映画『イノセンツ』を視聴しての感想・考察。
ノルウェー郊外の住宅地で、夏休みに友達になった4人の子供たちが親の目の届かないところで隠れた力に目覚め、遊び場で試すうちに奇妙なことが起こり始める。
基本情報
タイトル | イノセンツ(De uskyldige) |
制作年 / 制作国 | 2021年 / ノルウェー、スウェーデン、フランス |
上映時間 | 118分 |
ジャンル | ホラー、サスペンス |
監督 | エスキル・フォクト |
出演 | ラーケル・レノーラ・フレットゥム, アルヴァ・ブリンスモ・ラームスタ, ミナ・ヤスミン・ブレムセット・アシェイム, サム・アシュラフ, エレン・ドリト・ピーターセン, モーテン・シュバラ |
キーワード | 超能力、サイキック、テレキネシス、テレパシー、マインドコントロール |
雰囲気・傾向
知的な面白さ | |
直感的な楽しさ | |
コミカル | |
シリアス |
派手なスプラッターや、音や怖い絵面でビックリさせる系の演出はない。心理的に目を背けたくなるようなエグい描写はちょくちょくある。
全体的にサスペンス寄りのホラーという感じで淡々と描かれる。
子供の怖さ
子供は幼いほど欲望に対するブレーキが効かず、行為の結果に対する思慮も浅い。
- 自閉症で意思表示ができない姉をこっそり抓る
- ミミズを踏み殺す
- アリの巣に石を落とす
- 割れた食器の破片を姉の靴に入れる
- 猫を高層アパートの上層階から落とす
- 負傷した猫の頭を踏み潰して殺す
- etc…


そんな子供たちが超能力を人知れず使えるようになったら、という「嫌な予感(サスペンス)」と「実際に怖いことが起きる(ホラー)」がガッツリ描かれていて、サスペンス&ホラーとして楽しかった。
「殺らなきゃ殺られる」不安からの「騙し討ち」を企てて実行したイーダのベン抹殺計画は拙いものの、害意の成長がみられてホラー的には面白かった。
「子供は無邪気」と言ったりもするが、実際のところは能力相応の邪気(悪意・害意)を備えている。自らの行為を客観して「自覚」したり、周囲への影響を「計算」する能力が低いだけだ。
4人の子供と能力
超能力の種類と習得の関係が気になった。
- イーダ:団地に引っ越してきた9歳の女の子。超能力を使えるベンと出会う。
- アナ:イーダの姉。自閉症で人と意思疎通ができない。テレキネシスとテレパシーを使える。
- ベン:イーダと同じ団地に住む男の子。母子家庭、母に辛く当たられている。サイコパス。テレキネシスとマインドコントロールを使う。
- アイシャ:同じく団地に住む女の子。母子家庭、母親が情緒不安定。テレパシーを使える。


「テレキネシス(念力)」で考えてみる。
テレキネシスは、数十メートル離れたところから人の骨を折ったり、窒息させることができるなど、攻撃的な描かれ方をする。これを使えるベンとアナに共通しているのは、心身へのダメージ(虐待)を受けたことと、思い通りにならない不遇の程度が甚だしいこと。
イーダはベンに怪我をさせられる(結果的に足の骨を折られる)ことで、物語の終盤にテレキネシスを使った(ギプス破壊)。ベンが鍋をひっくり返して熱湯で母親を火傷させるとき、アナが鍋の蓋をクルクル回して遊んでいたのも気になる(何かリンクしているような?)。
テレパシーやマインドコントロールにも何らかのロジックがあるのだろうか。アナとベンの対決時に反応していた他の子供達の存在も気になるところ🤔
記事中画像の出典:イノセンツ (C)2021 MER FILM, ZENTROPA SWEDEN, SNOWGLOBE, BUFO, LOGICAL PICTURES