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映画・ドラマアニメ

【レビュー/感想】SFアニメ映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

3.0
3.0

SFアニメ映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のレビュー・感想記事です。

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基本情報

タイトル機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ  
初出2021年
製作国 日本
分数95分
ジャンルSF、アクション、ロボット

作品概要

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、2021年に公開されたガンダムシリーズの劇場アニメ。

舞台は、人口の増大と地球環境の荒廃から宇宙への人類移住が進められた時代「宇宙世紀」の地球圏。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の12年後。

主人公は同シリーズの主要キャラクター、ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノア。

ジャンルはSF、アクション。人型の巨大ロボット「モビルスーツ」が多数登場して戦う。

あらすじ

シャアの反乱から12年。
地球では連邦政府の腐敗と自然環境の悪化が進行。民間人は宇宙へと強制移民させられていた。

その暴政に政府高官の暗殺という手段で抵抗を示したのが、反地球連邦政府運動「マフティー」だった。
マフティーを率いるリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」の正体は、連邦軍大佐ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノア。

月から香港へと向かう政府高官用の特別シャトル「ハウンゼン」。
ハサウェイは表の顔「植物監視官の訓練生、ハサウェイ・ノア」として搭乗、潜入する。彼はその機内で身分不詳の美少女ギギ・アンダルシアに出会い、正体を見抜かれる。
しかし、彼女はそのことを通報しない。敵か、味方か、警戒するハサウェイ。

地球への降下を開始するハウンゼン。
すると、未確認機がハウンゼンの上部に接近、ポッドを取り付け、ハッチをこじ開ける。機内に武装集団が突入し、セキュリティは瞬く間に制圧。反抗的な乗客は容赦なく射殺された。
”マフティー”を自称する武装集団は、乗客の政府高官を身代金目的の人質にするという。

解せないハサウェイに銃口が向けられる。
その時、彼の脳裏にクェス・パラヤの声が響く「やっちゃいなよ!そんな偽物なんか」。呼応するようにギギも同じ言葉を発する。
刹那、ハサウェイは敵の銃を奪い反撃を開始する。

敵中で予想外のハプニング。ハサウェイの危険な綱渡りが始まるのだった…。

方向性

おもしろさ
(知性・好奇心)
 3.0
たのしさ
(直感・娯楽)
3.5
ふんいき
(シリアス↔コミカル)
2.5
むずかしさ
(平易↔難解)
3.0
みごたえ
(ライト↔ヘビー)
3.0

評価

ストーリー2.0
キャラクター3.0
イメージ4.0
サウンド3.5

感想・考察

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ネタバレを含んでいることがあります、未視聴の方はご注意ください。

人類に進展なし

地球を取り囲む光の輪

出典:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ|(C) 創通・サンライズ
νガンダムがアクシズを押し戻した際に発生した光の環。
『逆襲のシャア』のエンディングでは光が環を作るように地球の周りを駆け巡っていた。
あの奇跡も、幾多の戦いも、全て無駄だった…。

『逆襲のシャア』の続編として、物語が想像(想像)からかけ離れていて面白くなかった😭😭😭

旧作の亡霊に後ろ髪を引かれて正視できない感じ。進歩性や高尚さを期待して拗らせちまったなあ。続編を楽しく観るために割り切らねば。

一過性の奇跡

『逆襲のシャア』以後の宇宙世紀シリーズでは、人類の革新が起きた後の物語、ニュータイプたちの世界が描かれることを期待していた。だが、人類は旧態依然だった。

宇宙世紀の世界観を共有していて時期も近い『UC(ユニコーン)』や『NT(ナラティブ)』、さらに後世を描いた旧作『F91』や『Vガンダム』の展開から予想はできていたが、やはり『閃光のハサウェイ』も同様だった。

『機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)』から続くいくつもの戦いの末に『逆襲のシャア』で地球圏規模の人類全体を巻き込んだ奇跡が起きたのだ。触媒としてサイコフレームを必要としたが、力の源はニュータイプへと覚醒して繋がって融合した人類の意志だった。

だが、その奇跡は後の作品において局地的且つ一過性の現象として扱われた。人類全体はおろか、スペースノイドでさえもほとんどニュータイプ化していない。時期尚早だという論調さえ示される。

諸悪の根源である人類の性質(愚かさ・邪悪さ・卑しさ)に抗し得る第六感・ニュータイプ能力が、ごく一部の人間の特殊能力でしかない以上、歴史の悪夢が繰り返されるのも当然だ。変わっていないのだから。

宇宙に進出した人類の物語に進展はなかった。奇跡が起きてもリセットされて堂々巡りする。それが宇宙世紀シリーズのフォーマットなのかもしれない。

ニュータイプたちの世界

スペースノイドが、人類が、全員ニュータイプになった世界を想像していた。

一言にニュータイプといっても、能力や適性に差があるはずだ。知覚し制御できる距離・範囲・深さ・量・種類・持続力etc…、程度は様々。

好意的に見たニュータイプ社会は、不正を看破&周知しやすくなるので政治が良くなるだろう。犯罪を未然に防いだり、事後の捜査も捗るので治安も良くなる。交通事故などアクシデント全般も減らせそうだ。

一方で、クェスやギギのように感じ過ぎて苦しむ者、カミーユのようにNTブレイクする者が社会問題になりそうだ。皆がアムロやシャアのように高度な能力を上手くコントロールできるわけではない。テレパシーによるセキュリティやプライバシーの問題も必至。

ニュータイプ能力は格差社会の構成要素にも加わる。能力に劣る者、生み出される新たな価値観を否定する者たちは、反ニュータイプやオールドタイプ原理主義者として反旗を翻しても不思議はない。

ニュータイプの世界は完全無欠の理想世界ではないだろう。けれど、知性と尊厳をもった存在として、人類が高みへと一歩前進した世界にはなっているはずだ。

そういう世界で生きる人々とガンダムを観たかった。

暴力と金とエロと美

ペーネロペーのミサイルを躱すクスィーガンダム

出典:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ|(C) 創通・サンライズ
ペーネロペーのミサイルを水面ギリギリで躱すクスィーガンダム。
ミサイルが雲を引きながら乱舞する様が美しい。この気持ちよさの正体は🤔
モビルスーツのアクションは迫力もあって格好良かった!

全年齢対象に納まる程度ではあるが、娯楽の肝になる暴力・金・エロ・美などの刺激が盛り込まれていた。

暴力(アクション・流血)

冒頭シャトル内での人質殺害と接近戦。マフティーの襲撃による市街戦で巻き添えになる民間人。ケネス大佐の尋問で痛めつけられる捕虜ガウマン。血生臭い演出と動機付け。

クスィーとペーネロペー(オデュッセウスガンダム)のガンダム対決では、ミサイルの応酬が良かった。ミノフスキー粒子という設定がある宇宙世紀シリーズで誘導装置を持つミサイルの効果的な利用は困難かと思っていたが、サイコミュ兵器としてならいけるか。

特にクスィーのファンネルミサイルの飽和攻撃は気持ちよかった。ウネウネと目標を追尾する多数のミサイルの航跡が複雑に絡み合いながら迎撃を圧倒する様は壮観。ホーミング浪漫、納豆ミサイルを思い出した。

金(権力・地位・承認)

ハサウェイは表の顔だけでも、特別なシャトルに乗り、豪華ホテルの高級スイートに泊まり、基地の司令官と対等に接する。金の掛かったVIP待遇。

裏の顔においても、反政府組織のリーダーとしてメンバーから人望を集め、武装組織として戦力を指揮・運用し、挙げ句には高性能なワンオフ機まで調達している。すごい資金源がありそうだなあ🤔

彼は特別だ、この恵まれ具合よ。自己への陶酔と憐憫も怠らない。感情移入できれば楽しみやすいと思う。

エロ(お色気・ハーレム)

エロ要素も随所に散りばめられていた。

自由奔放に振る舞うNT美少女ギギ、艷CAフラゥワー、真面目崇拝ミヘッシャ、おっぱい姉御エメラルダ、接近ボディタッチ恋人ケリア。

ハサウェイのハーレム状態をはじめ、登場人物たちの多様なセックスアピールを楽しむのも乙。

美(背景・モビルスーツ)

背景の画やモビルスーツの美しさも印象に残った。

植物園や海岸、街の風景は、写実的なリアルっぽさを持ちつつ幻想的だった。輪郭がはっきりしているアニメキャラクターとのコントラストも印象的。

例えば、現実の植物は周辺環境の影響を受け、他の生物と戦いながら生きているから、大きさ・形状・色彩がもっと不揃いで、もっと複雑で、もっと汚い、無秩序なものだ。

作中の背景画は「きれいな風景ってこういうものだよね」をリアルさを損なわないレベルで幻想に近づけた感じ。上手く調整されてるのかしら。

モビルスーツもバリバリの3DCGになっているから作画崩壊が起こらない。人体のような柔らかいものを3DCGにすると硬さが目立つけど、元々硬いイメージのロボットとは親和性が高い。クスィーやペーネロペーは人型から離れたデザインだったのもあるか。

2021年に観ていたら

テロと戦争と閃光のハサウェイ
  • 2021-06
    『閃光のハサウェイ』公開
  • 2021-08
    アメリカ軍のアフガニスタン撤退

    タリバン復権

  • 2022-02
    ロシアのウクライナ侵攻

    2022年8月時点でも継続中

  • 2022-07
    安倍元首相暗殺

    背景に政治腐敗(政治と金と宗教)

  • 2022-08
    『閃光のハサウェイ』視聴

2021年に観ていたら、評価は変わらずとも印象は違っていたのかな、と思った。

第一作『機動戦士ガンダム』(1979年)の時代は「植民地の独立闘争」がトレンドだった。『閃光のハサウェイ』の製作・公開当時は「テロとの戦い」というテーマが世界情勢に合致していた。

2022年8月の視聴時には、アフガニスタンでタリバンが復権しているし、ロシアはウクライナに侵攻して国家間の戦争になっているし、安倍元首相は暗殺されていた。

マフティーのぼんやりしたプロパガンダ、暗殺テロという手段、ハサウェイの自問自答。1年半前だったら観え方が少し違っていたのかも。現実世界の方も波乱だ。

まとめ

3.0

モヤッとが拭えないところもありましたが、まあまあ楽しめました。ガンダム好きだから結局見ちゃうけど、まとわりつく雑念には困ったものです。

『閃光のハサウェイ』は三部作だそうで、一作目の本作はストーリーやキャラクターに謎が多くて要領を得ない部分も多かったです。

成り立ちや資金源など基盤がはっきりしない組織マフティー、ハサウェイがマフティーのリーダーになった経緯、かぼちゃ頭の偽マフティーとオエンベリの勢力、ギギの正体、謎だらけでした。

ともあれ、厳つい重武装ガンダムの派手な戦いなど見応えのあるシーンも多いため、SFやロボットものが好きなら楽しめると思います😍👍

原作小説

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記事更新時点で『閃光のハサウェイ』を月額見放題で配信中の動画配信サービスです。配信状況は時期により変わるため各サービスのサイトでご確認ください。

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