SFアニメ『銀河英雄伝説 わが征くは星の大海』のレビュー・感想記事です。
基本情報
タイトル | 銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 |
---|---|
発表年 | 1999年 |
製作国 | 日本 |
分数 | 60分 |
ジャンル | SF、スペースオペラ |
キーワード | 遠未来、宇宙での戦争、宇宙戦艦、艦隊戦、群像劇 |
作品概要
『わが征くは星の大海』は、1988年から2000年に掛けて発表された「銀河英雄伝説」OVAシリーズの1作目。パイロット版とも言える作品で、後に劇場公開もされた。
同OVA本伝シリーズ以前のラインハルトやヤンを描いた前日譚であり、田中芳樹の原作小説では外伝に含まれる。
大将となったラインハルト、准将となったヤンが、惑星レグニツァと第四次ティアマト会戦で戦う姿が描かれる。時系列では、外伝『第三次ティアマト会戦』と『汚名』の間。
あらすじ
大将へと昇進したラインハルトは、イゼルローン要塞へ向かう遠征艦隊を率いていた。
そこへ要塞の総司令官ミュッケンベルガー元帥より、要塞に接近しつつある自由惑星同盟軍を迎撃せよ、との司令が届く。
ミュッケンベルガーは、疲労した遠征艦隊を単独で敵と戦わせて、ラインハルトを亡き者にしようと企んでいた。
ヘリウムと水素の大気が吹き荒れる惑星レグニツァ上空で同盟軍を迎え撃つラインハルト艦隊。
時を同じく、惑星レグニツァに展開している同盟軍第二艦隊。そこには、進言を却下される作戦参謀ヤン・ウェンリー准将の姿があるのだった…。
方向性
おもしろさ (知性、好奇心) | |
---|---|
たのしさ (娯楽性、直感) | |
コミカル (笑い、喜劇) | |
シリアス (真剣、悲劇) |
評価
ストーリー | |
---|---|
キャラクター | |
イメージ | |
サウンド |
感想・考察
ボレロ
BGMのボレロが耳に残った。
第4次ティアマト会戦の緒戦、34分30秒あたりからボレロが流れ始めて15分くらい続く。
淡々と同じリズムだが、徐々に音が大きく厚くなっていく。戦況と呼応するかのように。
人間模様をつぶさに見ながら、戦場を俯瞰している気分で面白かった。
酷い人災
出典:銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 |(C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー
レグニツァでの失敗から何も学んでいないところが残念。
分かっちゃいたけど改めて見ても酷い人災だった。
司令官・指揮官クラスの高級軍人であるミュッケンベルガー元帥、ロボス元帥、パエッタ中将は、軍人としての規範よりも私情が前に立っていた。
熟練兵クルトと新兵トニオ、艦載機パイロットのポプランとコーネフ、士官のルイとウイン。士官・下士官たちは、理不尽な境遇の中で生命と矜持の活路を見出そうとしていた。
旗下の兵士をただの駒としてしか見れなくなること、駒として無下に使い捨てられること、どちらも恐ろしい。
戦場の背後にある政治や人民も含めて、酷い人災に思えた。ああ無情。
好敵手との出会い
出典:銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 |(C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー
両英雄を軸とした新たな物語が幕を開ける。
ラインハルトとヤンがお互いの存在と能力を知り、好敵手として意識し合う、出会いの回でもあった。
帝国と同盟の大英雄。対等以上の好敵手との出会いは、彼らの戦いに新しい意味を与えたようだった。
ラインハルトはヤンを”リスト”に加えた。ヤンはラインハルトの出現で戦術家としての機略を冴えさせた。
自分の実力を最大限に発揮できる相手に全力で挑むこと、その手応えを得ること。度し難い武力のドッジボール!人並み外れた二人の人並なところにも思えた。
まとめ
銀英伝アニメの基本スタイルは1作目から既に完成していたのだなと感心しました。
宇宙空間で繰り広げられる壮大な艦隊戦、両陣営の英雄たちによる群像劇、重厚なクラシックBGM、屋良有作氏のナレーション。面白かったです!