人気ドラマシリーズの映画版『エルカミーノ:ブレイキング・バッド THE MOVIE』の視聴感想/レビュー記事です。
本作の物語は『ブレイキング・バッド』の最終話ラストから始まり、「ジェシー・ピンクマン」のその後が描かれます。ドラマシリーズのエピローグな感じです。
本家ドラマに登場したキャラクターたちも色々と登場するので、”あの後”のジェシーがどうなったのか気になるファンは一見の価値アリです!
作品概要
『エルカミーノ:ブレイキング・バッド THE MOVIE』は、2019年に公開されたブレイキングバッドのスピンオフとなる映画版。
本家ドラマのエピローグ/サイドストーリー的な位置付けで、2013年に完結したドラマから6年後に公開された。
本作の主人公は、本家テレビドラマ版『ブレイキング・バッド』の主役「ウォルター・ホワイト」の相棒だった「ジェシー・ピンクマン」。
- タイトル:エルカミーノ:ブレイキング・バッド THE MOVIE
- 原題:El Camino: A Breaking Bad Movie
- 配給/配信:Netflix、AMC
- 製作国:アメリカ
- 製作:ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン
- 監督:ヴィンス・ギリガン
- 公開:2019年
- ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ




記事更新時点ではネットフリックスで配信中。
また、製作の舞台裏を描いた特別映像「エルカミーノ:ブレイキング・バッド THE MOVIEの舞台裏」も公開されている。
あらすじ
監禁から解放された「ジェシー・ピンクマン」。しかし、一連の事件が発覚して指名手配犯となってしまったため、彼は身を隠しながら友人のスキニー・ピートを頼る。
忌まわしい記憶に悩まされるジェシーだが、過去を清算して新たな未来を築くために歩み出す…。


ドラマのラストで「シボレー・エルカミーノ」に乗ってナチ野郎どもの拠点を脱出したジェシーのその後が描かれます。
ジェシーの行動と回想でお話が進んでいく感じです。
美しい風景
『エルカミーノ』を視聴して印象的だったものの一つが風景などの画。
出典:El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
荒野のシーンは、メイキング映像によるとアリゾナ州の「ペインテッド砂漠」で撮影されたそうで、すごく綺麗だった。
壮大な自然を背景にしてジェシーとトッドが荒野で対峙するシーンも迫力があった。
出典:El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
作品冒頭部でマイクとジェシーが「足を洗った後にどこへ行くか」を話しているシーンも印象に残った。
『ブレイキング・バッド』でのマイクの最期も川辺だったのを思い出す。


『エルカミーノ』のラストシーンも美しい自然の姿で締めくくられるので見応えがありますよ!
ジェシーとトッド
『エルカミーノ』では、キャラクター性で「ジェシー」と対の存在となる「トッド」について掘り下げられるので面白かった。
「トッド」は、他者への礼儀・敬意・気遣い・罪悪感などを持っているけど、それらが凶行を抑制するストッパーとして機能しない。人間性の大事な部分の”ネジ”が欠落していて、自分の利益のためなら平気で残虐なことができてしまうサイコパス!
それに対して「ジェシー」は、表向き粗野で突っ張ってはいるけど、大事な人のためなら自分を犠牲にできる情の深さや憎めなさをもっている。
出典:El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
ジェシーにはトッドを撃ち殺すチャンスがあったが、人質になっている恋人の息子「ブロック」を守るために撃てなかった。銃を手放して涙を流しながら項垂れるジェシーに、「見ろよ、いい景色だろ」なんて言いながら肩を抱くトッドの不気味さにはゾクゾクした。
トッドがジェシーを連れ出したのは手伝いをさせるためでなく、人質がいればジェシーを手懐けられることを試し確認するためだったと思う。
トッドはウォルターの襲撃がなかったら、必要なジェシーとリディアだけを残し、最終的には不要となる自分のおじさんや仲間達を殺し利益を独占したかもしれない。
出典:The Road to El Camino: Behind the Scenes of El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
それにしても、トッド役のジェシー・プレモンスが太って、見た目が結構変わっていたのが残念だった。
ジェシー役のアーロン・ポールが若々しいだけに、トッドの腹の出たオッサン姿は余計に目立った。
ステレオタイプなジェシーの「不良っぽさ」とトッドの「好青年ぽさ」を、対比するのも視覚的に味噌となっているので、ドラマ版と同じ様にジェシーとトッドは同年代に見えるようにしたほうが良かったと思う。
スキニー・ピートとバッジャー
ドラマでもちょくちょく笑わせてくれた脇役「スキニー・ピート」と「バッジャー」も登場。
出典:El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
ゲームをしながらバカ話をしているところは相変わらずでホッコリ(*´∀`)
ジェシーはその人柄もあってか、友人を、友情を失わずに済んだ。最後には友も失ったウォルターと違って。
ウォルターとジェシー
回想シーンでのウォルターとジェシーの会話も印象的だった。
出典:El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
話の内容やキャンピングカーが映っていることから、ジェシーは1年以上前を回想している。
ウォルターに金を稼いだ後どうする気なのか聞かれ、大学で経営学を学ぶことなどを勧められる。この時のウォルターとジェシーは、「先生と生徒」或いは「父と息子」のようだ。
ジェシーは実の親から見放されている。ウォルターのことは憎んでもいるけど、粘り強く付き合ってくれて、必要としてくれたから、複雑な思いがあるのかもしれない。
未開の地へ
出典:El Camino: A Breaking Bad Movie | 2019 | © Sony Pictures Television Inc
ジェシーは憎めないやつだけど、過去の過ちを正すことはできない。
できるのは人生を一からやり直すこと。目指すのは最後の未開の地…。
既に開かれた地で居場所を作れなかったのなら、未開の地を切り拓くしかない!
まとめ
『エルカミーノ』は『ブレイキング・バッド』が大好きなファンなら★4~5くらいの楽しさ・面白さがあると思います。
本家ドラマで描かれなかった部分が補完されるので、もうひとりの主人公ジェシーがどうなったのか気になる人にはおすすめです!
作中にはハラハラ・ドキドキさせられるサスペンスなパートや、西部劇顔負けのアクションシーンもあります。ただ、本家ほどの”濃さ”や”綿密さ”は感じられませんでした。
総じて、ドラマ版を気に入ったら一度観てみる価値のある作品だと思います。

