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映画・ドラマ

【レビュー/感想】海外ドラマ『ブレイキング・バッド(Breaking Bad)』

4.5

アメリカのテレビドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』を全話視聴してのレビュー/感想記事です。

記事内にネタバレ要素が含まれるので未視聴の方や気になる方はご注意ください。

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作品概要

『ブレイキング・バッド』は、2008年~2013年までアメリカAMCで放送されたテレビドラマシリーズ。

サスペンスを主要素にブラックコメディを散りばめた感じの続き物ドラマ。1話あたりの尺は約45分で、全5シーズン(エピソード数62)で構成されている。

  • タイトル:ブレイキング・バッド(Breaking Bad)
  • 放送局:AMC
  • 製作国:アメリカ
  • 製作:ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン
  • 製作総指揮:ヴィンス・ギリガン
  • 放送期間:2008年~2013年
  • ジャンル:サスペンス、ブラックコメディ

プライムタイム・エミー賞、ゴールデングローブ賞の多くの部門でノミネート・受賞している大ヒット作品。

スピンオフ作品としてドラマ「ベター・コール・ソール」、映画版「エルカミーノ」も製作された。

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あらすじ

舞台は2000年代のアメリカ南西部。主人公は50歳になる高校の科学教師「ウォルター・ホワイト」。教鞭をとる傍ら、家計のために洗車場でのアルバイトもしている、冴えないけれど真面目な男。

妻のスカイラーは40歳を目前にして予定外の妊娠、息子のウォルターJrは歩くのに杖が必要な脳性まひ障害を負っている。

そんな中、自身が末期の肺がんに冒されている事を知ったウォルター。このままだと治療費の支払いもままならず、家族には何も残せない状況になることは明らかだった。

一計を案じたウォルターは、かつての教え子でドラッグの売人「ジェシー・ピンクマン」と共謀。抱負な科学的知識を利用してメタンフェタミン(通称:メス)を精製し大金を稼ごうとする。

自らの行為を必要悪として正当化し、暴力も最小限に止めようとするウォルターだが、緊迫していく状況の中、徐々に歯止めがき利かなくなっていく…。

致し方なく犯罪に手を染めた善人が、犯行を重ねるうちに大悪党になっていくというお話です。
この手の物語のお約束で結末は簡単に予想できますが、終局に至るまでの過程がスリリング&コミカルに描かれていて最高に面白かったです!

見どころ

個人的に思う『ブレイキング・バッド』の見どころは、「絶体絶命のピンチをあの手この手で潜り抜けるサスペンス要素」、「合間にちょくちょく挟まれているブラックなユーモア」、「主人公ウォルターの変化(悪に染まる/壊れる様)」。

キャンピングカーのドアを押さえるウォルター。車内に毒ガスを発生させてギャングを倒そうとするが、内側から銃撃されて危機一髪!

出典:ブレイキング・バッド | シーズン1 エピソード1より |  © Sony Pictures Television Inc | BREAKING BAD | Sony Pictures Entertainment

堅気な生き方をしてきたウォルターは、犯罪につきものの暴力にまるっきり弱いうえに、裏の顔がばれないように表の生活もこなす必要があるので、二重生活には危険がいっぱい。

常に何かしらの脅威に晒された崖っぷち状態がデフォルトなので、毎話飽きずにハラハラドキドキさせられる。

また、ちょくちょく笑わせてくれる部分もあって楽しい。シーズン1の第1話から、50歳の真面目な高校教師のおじさんが白ブリーフ一丁の裸エプロン姿で麻薬を精製する姿を見せつけたりするなど、ブラックなユーモアが良いスパイスになっている。

メスを売りたいのでも、金を稼ぎたいのでもない、私は帝国を築きたい

出典:ブレイキング・バッド | シーズン5 エピソード6より | © Sony Pictures Television Inc | BREAKING BAD | Sony Pictures Entertainment

サスペンスやコメディ要素も面白いが、主人公ウォルターを中心として登場キャラクターたちの変化も見逃せない。

ウォルターは「家族のため」に悪に手を染めるのだが、シーズンを重ねていく毎にメッキはボロボロと剥がれていく。その先に待っている最期を見届けたい気持ちにさせられた。

サスペンス要素が強いものの、雰囲気は意外と暗くないです。ブラックジョークとか好きなら結構笑えると思います!
主人公が「ウォルター(表の顔)」から「ハイゼンベルク(裏の顔)」になる瞬間が最高!深淵を垣間見ているような気分です。

思うところ

この章はネタバレが強いのでご注意を。
全5シーズン観終わって一番印象に残っているのはウォルターの二面性だった。
視聴中はウォルターの変化を見ていて「彼の本性は表・裏どちらなのだろう?」と考えたりもしたが、結局は表裏一体、どちらも本性に思えた。
ウォルターは、ストーリーも大詰めになってようやく一連の行為を「自分のためにやった」と、妻スカイラーに認めることができる境地に至った。
ただ、その後でも家族に対する愛情や義務感は相変わらず、ジェシーに対する歪な愛情・友情も変わっていなかった(一度は殺そうとしたけど)。
家族に対する愛情は全部バレて憎まれて嫌われて最期になっても変わらないし、ジェシーのこともやっぱり最終局面のここぞというところでは我が身を挺して守ってしまう。
「表のウォルター」、「裏のハイゼンベルク」、どちらも本物の「ウォルター・ホワイト」。この二面性をドラマを視聴している自分自身に当てはめてみると、ドキリとさせられる…。
自分の欲求に正直な「悪」の道を選んだ結果失ったものは大きいが、あの2年間で彼は人生最高の化学反応を実感できたのかもしれない。
脚本や魅せ方は全編通して本当に上手いと思った。しかし、シーズン3と4ではトラブルを発生させるためのフラグの立て方が強引&ワンパターンで少し中弛みだった。
特に、ウォルターとジェシーが激昂して”やらかす”パターンが多くて食傷。若くてジャンキーなジェシーが感情的なのはまあいいとしても、ウォルターの言動はもう少しスマートに描いてくれた方が個人的には見やすかったと思う。

まとめ

4.5

『ブレイキング・バッド』を全話視聴しての率直な感想は「本当に面白かった」でした。特に最終シーズン5の11話以降は圧巻でした。

この手の作品のお約束として「最期(=主人公の破滅)」は明らかなわけですが、全5シーズンでうまい具合にまとめて着地させている点も素晴らしいと思います。

自分が観たことある作品で雰囲気(崖っぷち感)がある程度似ているものだと、ドラマ版の「ファーゴ(FARGO)」や「デスパレートな妻たち」あたりが近いかなと思います。

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視聴方法について

視聴方法に関しては、手軽さなら「ネットフリックス(Netflix)」がおすすめです。月額の定額料金で全シーズン見放題&スピンオフシリーズ『ベター・コール・ソール』&映画版『エルカミーノ』が見れます(※記事更新時点)。

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自分は海外ドラマはやや吹き替え派ですが、ネットフリックスで視聴した際の日本語吹替版は質が高くて良い感じでした。

その他、Amazonプライムビデオや楽天TVなどでもストリーミング配信されています。第一話は無料でお試し視聴することもできるため、とりあえず観てみるのも良いかもしれません(レンタルは割高なのであまりおすすめしませんが)。

ブルーレイ/DVDで全巻セットも発売されています。

記事を書きながらチラチラ見返していると、初視聴時とは違った視点で観ることができて面白かったので、機会があったらそのうち全編通して再視聴したいところです。

スピンオフ作品『ベター・コール・ソール』や『エルカミーノ』も面白そうなので、チェックしてみる予定です!

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