【★3.5】群れるな危険！エスカレートする女たちのヘイトクライムスリラー『ソフト／クワイエット』【映画】

2022年のアメリカ映画『ソフト／クワイエット（Soft & Quiet）』を鑑賞しての感想（ネタバレ含む）。

ヘイトと群衆心理の化学反応。ほんの嫌がらせのつもりが、残虐な犯罪行為へと発展していく狂気のヘイトクライムスリラー作品。

4人の女

• エミリー
  • 幼稚園の教師。子供を望んでいるが不妊治療が上手くいかず悩む。
  • 兄がアン（アジア系姉妹の姉の方）をレイプした罪で服役中。
  • 容姿が良く外面を取り繕うのは上手いが信念がない。
• キム
  • 食料品店を夫婦で営む。経営状況は芳しくない。
  • 店の経営と子育てに忙殺されている。
  • 受動的で流されやすい。
• レスリー
  • 前科者。キムの店で働いている。
  • キムのような家族に憧れている。
  • 粗野で暴力を振るうことに躊躇がない。
• マージョリー
  • 有色人種に職を奪われたと思って恨んでいる。
  • 意志薄弱。アルコール依存。
  • グループの中で見下されている。

誰か一人踏みとどまっていたら？

誰か一人踏みとどまっていたら、どうなっていただろう？

あんな事態にならなかった？それとも、弱いと思われてさらなる暴走を招いた？

• アジア系姉妹（アンとリリー）が4人をスルーしていたら
• マージョリーが手を出さなかったら（突き飛ばさなかったら）
• キムが銃を持ち出さなかったら
• 店を追い出された直後にリリーが4人を煽らなかったら
• エミリーがクレイグを煽らなかったら
• 妻に煽られたクレイグが悪戯への参加を固辞していたら
• etc…

言い出すときりがないけど…。

虚栄心、同調圧力、グループ内での序列争い、責任転嫁。複雑に絡み合っていて、何がどのくらい影響していたのか難しいところ。

露見する民度

エミリーは、レスリーやマージョリーに比べると外見や言動の面でいくらか上品だ。

しかし、アイデンティティの危機に瀕すると卑しい根性が露見した。夫を「毎日妻に軽蔑されたいの？」「私にタマなしだと思われたいの？」などと煽る様は下劣だった。

エミリーと対極に位置するレスリーのサイコパスな粗暴さも印象的だった。アンとリリーに嫌がらせすることを言い出したり、隠蔽工作のためにあんな酷いことをすぐさま思いつくあたりのイカれ具合が怖かった😱

群れると危険！？

4人の女がそれぞれもつ悪意や能力は、個々人の範疇に収まっている限り凶悪な犯罪に至るものではなかったが、群れることで補い合い最悪な結果を招いた。

非合理で無責任な行動がエスカレートしたのは群集心理、もといヒトの性によるものだろうか。

ほんとうに胸の悪くなるお話だったけれど、実際に起こりそうな気がしてならないリアルさがあって面白くもあった🤔