SFアニメ『銀河英雄伝説 外伝 第三次ティアマト会戦』のレビュー・感想記事です。
基本情報
タイトル | 銀河英雄伝説 外伝 第三次ティアマト会戦 |
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発表年 | 1999年 |
製作国 | 日本 |
長さ | 26分×2本 |
ジャンル | SF、スペースオペラ |
作品概要
『銀河英雄伝説 外伝』は、本伝以前のラインハルトやヤンを描いた前日譚。
『第三次ティアマト会戦』では、同盟領への大規模攻勢を仕掛ける銀河帝国軍と、迎え撃つ自由惑星同盟軍が、ティアマト星域で戦火を交える様が描かれる。
あらすじ
中将に昇進したラインハルトは一個艦隊の司令官となっていた。キルヒアイスは少佐に昇進して、ラインハルトの副官として伴にあった。
帝国軍は、皇帝フリードリヒⅣ世の在位30年に華を添える名目で、同盟領への大規模な攻勢を計画する。これは、内政での事績がない皇帝の示威行動でもあった。
ティアマト星域で相見える両軍。同盟側は若手指揮官ホーランドによる独断専行の突進で戦列に混乱をきたした。一方、帝国側はその突進に翻弄されて醜態を晒すのだった…。
方向性
おもしろさ (知性・好奇心) | |
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たのしさ (直感・娯楽) | |
ふんいき (シリアス↔コミカル) | |
むずかしさ (平易↔難解) | |
みごたえ (ライト↔ヘビー) |
評価
ストーリー | |
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キャラクター | |
イメージ | |
サウンド |
感想・考察
イチャイチャ
出典:銀河英雄伝説 外伝 第三次ティアマト会戦 前篇 |(C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー
ラインハルトとキルヒアイスのイチャイチャが目についた😍
甘えるラインハルトと嗜めるキルヒアイス。好意的且つストレートに見れば、すごくフレンドリーな主従関係。捻って見ると、上下関係が逆の親子・兄弟による共依存にも見える。
一個艦隊を指揮する重責と気苦労は計り知れない。帝位簒奪を睨んだ人材収集への懸念もあって、前話『千億の星、千億の光』から、ラインハルトのぼやきは増えていた。
それにしても、座乗の旗艦艦橋で艦隊指揮の最中に副官の髪を愛おしげに弄くる様には脱力した。一方が欠けると色々と壊れてしまいそうな危険な関係よね。
有能と無能のしがらみ
出典:銀河英雄伝説 外伝 第三次ティアマト会戦 後篇 |(C) 田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー
帝国側と同盟側の双方で、”ある種の無能な人材”に対する反応が、対比するように描かれていて面白かった。
生来の魅力で人を惹き付けることには優れているが、無能で狭量な者を軽蔑して拒絶するラインハルト。
対して老獪なビュコックは、友軍を懐柔して来る撤退に備えさせ、指揮官を失った兵士たちを生還に導いた。
ノルデン少将
ラインハルトの参謀長を勤めたノルデンは、その立場からすると能力不足だった。想定外には対応できないマニュアル人間であり、新たな知見を取り込み自身を向上させる伸び代にも欠けていた。
ラインハルトはそんなノルデンを軽蔑し叱責した。キルヒアイスの気配りによって指導の機会を得るも、遠回しな間接的指摘は相手に届かなかった。
ノルデンは素直に教えを請えば良かった。そうすればラインハルトの意図を知ることはできたはずだ。しかし、それは情報として知る・覚えるだけであって、本質を理解するには及ばなかっただろう。
ラインハルトはノルデンの無能さを素早く見抜いた。だからこそ、彼を嫌悪したが、指導することを諦めなければ、理解者足り得ずとも信奉者は得られたかもしれない。
ホーランド中将
ホーランドは、過剰な自信と功名心に駆られて無謀な突進を敢行。一個艦隊を指揮する司令官としては視野と度量が狭すぎた。分艦隊司令くらいなら良い仕事ができる人物だったのかも。
ホーランドは、自らが置かれた状況を知る間もなく、ラインハルトが放った攻撃で宇宙の藻屑と化す。報告「直撃来ます!」からの最期の言葉「ん?」は滑稽ですらあった。
ビュコックは、ホーランドを制止するのは困難だと悟り、次善の策として突出したホーランド艦隊の撤退支援に注力した。無理に止めに入っていたら、一網打尽にされていたかもしれない。
最善に拘らない柔軟な姿勢が結果的に功を奏した。
教訓
ノルデンやホーランドのキャラクターは、度し難く誇張され露骨だった。ともあれ、自分があんな風にならないように気を付けたい。
ラインハルトの上昇志向、ビュコックの諦観。どちらも捨てがたい意識だけど、バランスを取るのは難しい。
まとめ
艦隊戦を通しての教訓めいたお話でなかなか面白かったです。